英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.10.09,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(23本目)
今回は結核に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Tuberculous pneumonia」です。
「Tuberculous pneumonia」の和訳はそのまま「結核性肺炎」ですが、古くは「乾酪性肺炎」と呼ばれ一般的な肺結核とは異なり突然の高熱、咳嗽を伴い急激な経過を伴います。画像検査では以下に示す通り大葉性肺炎像を呈するため、一見すると重症の細菌性肺炎に見えます。そのためしばしば診断の遅れにつながり公衆衛生上大きな問題になりかねません。
病態としては経気道的に大量の結核菌が散布され、これに対して免疫応答が苛烈に起こることで大葉性肺炎像を呈します。
本症例では結核性肺炎を鑑別疾患として挙げていたため、隔離と迅速な治療開始が達成できました。初期研修医1年目の想い出深い一例です。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
抗菌薬に反応しない肺炎を見たときは、悪性腫瘍、耐性菌、真菌、膠原病、好酸球性肺炎を含むアレルギー疾患以外にも「結核性肺炎」を鑑別として忘れないようにしましょう。
掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
追記(2017年10月29日):本記事に関して初めて公式にLetterが届きました。返答はQJMで掲載予定です。リンクはこちら
100本まで残り77本です。
今回は結核に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Tuberculous pneumonia」です。
「Tuberculous pneumonia」の和訳はそのまま「結核性肺炎」ですが、古くは「乾酪性肺炎」と呼ばれ一般的な肺結核とは異なり突然の高熱、咳嗽を伴い急激な経過を伴います。画像検査では以下に示す通り大葉性肺炎像を呈するため、一見すると重症の細菌性肺炎に見えます。そのためしばしば診断の遅れにつながり公衆衛生上大きな問題になりかねません。
病態としては経気道的に大量の結核菌が散布され、これに対して免疫応答が苛烈に起こることで大葉性肺炎像を呈します。
本症例では結核性肺炎を鑑別疾患として挙げていたため、隔離と迅速な治療開始が達成できました。初期研修医1年目の想い出深い一例です。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
抗菌薬に反応しない肺炎を見たときは、悪性腫瘍、耐性菌、真菌、膠原病、好酸球性肺炎を含むアレルギー疾患以外にも「結核性肺炎」を鑑別として忘れないようにしましょう。
掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
追記(2017年10月29日):本記事に関して初めて公式にLetterが届きました。返答はQJMで掲載予定です。リンクはこちら
100本まで残り77本です。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2017.10.01,Sun
Clinical PictureがAcceptされました(22本目)
今回は栄養及び神経領域のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Inverted V sign; subacute combined degeneration of the spinal cord」です。
「Subacute combined degeneration of the spinal cord」は日本語で「亜急性連合性脊髄変性症」と言います。国家試験にも頻出なこの疾患はビタミンB12の欠乏によって発症します。通常対称性に下肢の感覚障害や振動覚の低下、バビンスキー反射陽性が認められますが、不定愁訴の域を抜けきらない診断の難しい疾患です。ビタミンB12の欠乏に伴う疾患は他に「巨赤芽球性貧血」があり、MCV高値を伴う患者を診た際には栄養状態や食事の確認、ビタミンB12の評価が重要です。これに何らかの脱力やしびれなどの症状がある場合には、本症を鑑別疾患の一つとして忘れないようにしましょう。
本症例ではMRIで特徴的な逆Vサインが認められました。ただし本症例のような画像所見を伴う亜急性連合性脊髄変性症はそれほど多いわけではありません(全症例の約20%)。しかしながら後索に特異的に高輝度を示す疾患は他にほとんどないので是非とも覚えていただきたいClinical Pictureの1つです。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
100本まで残り78本です。
今回は栄養及び神経領域のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Inverted V sign; subacute combined degeneration of the spinal cord」です。
「Subacute combined degeneration of the spinal cord」は日本語で「亜急性連合性脊髄変性症」と言います。国家試験にも頻出なこの疾患はビタミンB12の欠乏によって発症します。通常対称性に下肢の感覚障害や振動覚の低下、バビンスキー反射陽性が認められますが、不定愁訴の域を抜けきらない診断の難しい疾患です。ビタミンB12の欠乏に伴う疾患は他に「巨赤芽球性貧血」があり、MCV高値を伴う患者を診た際には栄養状態や食事の確認、ビタミンB12の評価が重要です。これに何らかの脱力やしびれなどの症状がある場合には、本症を鑑別疾患の一つとして忘れないようにしましょう。
本症例ではMRIで特徴的な逆Vサインが認められました。ただし本症例のような画像所見を伴う亜急性連合性脊髄変性症はそれほど多いわけではありません(全症例の約20%)。しかしながら後索に特異的に高輝度を示す疾患は他にほとんどないので是非とも覚えていただきたいClinical Pictureの1つです。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
100本まで残り78本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.09.13,Wed
Clinical PictureがAcceptされました(21本目)
今回も上部消化管関連のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Nodular gastritis」です。掲載雑誌は久々に英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
「Nodular Gastritis」は日本で上部内視鏡検査をしている医師ならば、誰もが一度は目にしたことのある特徴的な所見「鳥肌状胃炎」のことです。鳥肌状胃炎はH.pylori感染に伴い、前庭部におけるリンパ濾胞の増生を主座とした胃炎を言います。以前から若年女性の低分化型腺癌との関連が示唆されていますが、やはり疫学上の違いからか国外の英語論文は多くありません。
また欧米と日本との決定的な違いはH.pyloriが持つ遺伝子の違いが大きいと考えられています。特にcagA及びvacAが代表的ですが、欧米のH.pyloriのほとんどはcagAを持っていません。逆に日本国内のH.pyloriは95%以上cagAを有しており、悪性度が高いことが知られています。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
H.pylori感染に伴う疾患を復習しましょう。
代表的な疾患は「胃十二指腸潰瘍」「胃癌」「慢性胃炎」「胃MALTリンパ腫」は言わずもがなですが、他にも「びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)」「特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」「鉄欠乏性貧血(小児貧血)」に関連している場合があります。
なんで「鳥肌状胃炎」なんか通るんだ、と思われる方は多数おられることでしょう。
疫学の違いは思ったより身近なところに転がっている…かもしれません。
100本まで残り79本です。
今回も上部消化管関連のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Nodular gastritis」です。掲載雑誌は久々に英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
「Nodular Gastritis」は日本で上部内視鏡検査をしている医師ならば、誰もが一度は目にしたことのある特徴的な所見「鳥肌状胃炎」のことです。鳥肌状胃炎はH.pylori感染に伴い、前庭部におけるリンパ濾胞の増生を主座とした胃炎を言います。以前から若年女性の低分化型腺癌との関連が示唆されていますが、やはり疫学上の違いからか国外の英語論文は多くありません。
また欧米と日本との決定的な違いはH.pyloriが持つ遺伝子の違いが大きいと考えられています。特にcagA及びvacAが代表的ですが、欧米のH.pyloriのほとんどはcagAを持っていません。逆に日本国内のH.pyloriは95%以上cagAを有しており、悪性度が高いことが知られています。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
H.pylori感染に伴う疾患を復習しましょう。
代表的な疾患は「胃十二指腸潰瘍」「胃癌」「慢性胃炎」「胃MALTリンパ腫」は言わずもがなですが、他にも「びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)」「特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」「鉄欠乏性貧血(小児貧血)」に関連している場合があります。
なんで「鳥肌状胃炎」なんか通るんだ、と思われる方は多数おられることでしょう。
疫学の違いは思ったより身近なところに転がっている…かもしれません。
100本まで残り79本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.09.08,Fri
Clinical PictureがAcceptされました(20本目)
今回は上部消化管関連のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Diffuse esophageal spasm: Corkscrew esophagus」です。掲載雑誌は"Green Journal"という別称を持つ内科系雑誌「American Journal of Medicine(IF 5.55)」です。内科系雑誌として著名な雑誌の一つであり、Clinical PictureやCase Reportを数多く掲載しています。
症例はDiffuse Esophageal Spasm(びまん性食道痙攣)に特徴的な「Corkscrew Esophagus」の内視鏡像と食道造影を取り上げています。機序は未だ解明されていないところが大きいのですが、一酸化窒素合成酵素を含む抑制性ニューロンの消失により食道同期性収縮波を惹起していると考えられています。原因不明の胸痛の鑑別疾患として忘れてはなりません。なぜなら薬物療法としてCaブロッカーが有用であり、ACSとの鑑別が最も重要な事項です。近年ではアカラシアの内視鏡的治療であるPOEMが一部の症例に有用であったとの報告があります。
100本まで残り80本です。
今回は上部消化管関連のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Diffuse esophageal spasm: Corkscrew esophagus」です。掲載雑誌は"Green Journal"という別称を持つ内科系雑誌「American Journal of Medicine(IF 5.55)」です。内科系雑誌として著名な雑誌の一つであり、Clinical PictureやCase Reportを数多く掲載しています。
症例はDiffuse Esophageal Spasm(びまん性食道痙攣)に特徴的な「Corkscrew Esophagus」の内視鏡像と食道造影を取り上げています。機序は未だ解明されていないところが大きいのですが、一酸化窒素合成酵素を含む抑制性ニューロンの消失により食道同期性収縮波を惹起していると考えられています。原因不明の胸痛の鑑別疾患として忘れてはなりません。なぜなら薬物療法としてCaブロッカーが有用であり、ACSとの鑑別が最も重要な事項です。近年ではアカラシアの内視鏡的治療であるPOEMが一部の症例に有用であったとの報告があります。
100本まで残り80本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.08.27,Sun
Clinical PictureがAcceptされました(19本目)
今回は耳鼻科救急疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Thumb sign and Vallecula sign」です。掲載雑誌はカナダ内科学会の発行する内科系雑誌「Canadian Medical Association Journal(IF 6.8)」です。世界的に著明な内科系雑誌の一つであり、IFも申し分なく高いため当誌へのAcceptは隠れた目標の一つでした。
様々なJournalに投稿してきましたがReplyの速さやAuthorへの誠実さでCMAJに勝さる英文誌は他に見当たりません。この点については後日紹介しますが別格別次元の素晴らしい対応です(記事はこちら)。
肝心の症例についてですが急性喉頭蓋炎の喉頭高圧撮影写真で認められる有名なSignを取り上げています。言わずもがな急性喉頭蓋炎は致死的な疾患であるため迅速な診断と確実な気道確保が求められます。ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型:Hibによる急性喉頭蓋炎は近年のワクチン接種によって非常に減少していますが、現在では他の菌種(Staphylococcus aureusやGroup A β-hemolytic streptococci)による症例の割合が増えているそうです。
Croupの症例でも記載しましたが「身体所見」が非常に重要な疾患です。
咽頭所見が乏しいのに「唾が飲めない」「ふくみごえ(口にものを入れているかのような声)」がある患者に出会ったときは本症を念頭に対応しましょう。
100本まで残り81本です。
今回は耳鼻科救急疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Thumb sign and Vallecula sign」です。掲載雑誌はカナダ内科学会の発行する内科系雑誌「Canadian Medical Association Journal(IF 6.8)」です。世界的に著明な内科系雑誌の一つであり、IFも申し分なく高いため当誌へのAcceptは隠れた目標の一つでした。
様々なJournalに投稿してきましたがReplyの速さやAuthorへの誠実さでCMAJに勝さる英文誌は他に見当たりません。この点については後日紹介しますが別格別次元の素晴らしい対応です(記事はこちら)。
肝心の症例についてですが急性喉頭蓋炎の喉頭高圧撮影写真で認められる有名なSignを取り上げています。言わずもがな急性喉頭蓋炎は致死的な疾患であるため迅速な診断と確実な気道確保が求められます。ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型:Hibによる急性喉頭蓋炎は近年のワクチン接種によって非常に減少していますが、現在では他の菌種(Staphylococcus aureusやGroup A β-hemolytic streptococci)による症例の割合が増えているそうです。
Croupの症例でも記載しましたが「身体所見」が非常に重要な疾患です。
咽頭所見が乏しいのに「唾が飲めない」「ふくみごえ(口にものを入れているかのような声)」がある患者に出会ったときは本症を念頭に対応しましょう。
100本まで残り81本です。
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