英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.06.27,Tue
Clinical PictureがAcceptされました(13本目)
今回は腎臓疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Lindsay's nail」で掲載雑誌はまたまたまたまた英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
なかなか知られていない末期腎不全患者の爪の変化です。報告者の名前をとってLindsay's nailと呼ばれています。他にHalf and half nailという呼び方があります。本症は紹介されている文献が非常に少ないです。末期腎不全で透析を受けている患者のおよそ20%(文献によっては20-50%)に爪床変化があらわれるので、お近くの患者さんで是非確認をしてみてください。余談ですが腎移植すると改善する例があるそうです。案の定NEJMには過去問がありました。
当院での別症例です(追記:2017年8月27日)。
今回の症例は医師になりたての初期研修医が見つけてくれました。身体所見の大切さと先人のたゆまぬ努力を理解していただけたらと思います。
100本まで残り87本です。
今回は腎臓疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Lindsay's nail」で掲載雑誌はまたまたまたまた英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
なかなか知られていない末期腎不全患者の爪の変化です。報告者の名前をとってLindsay's nailと呼ばれています。他にHalf and half nailという呼び方があります。本症は紹介されている文献が非常に少ないです。末期腎不全で透析を受けている患者のおよそ20%(文献によっては20-50%)に爪床変化があらわれるので、お近くの患者さんで是非確認をしてみてください。余談ですが腎移植すると改善する例があるそうです。案の定NEJMには過去問がありました。
当院での別症例です(追記:2017年8月27日)。
今回の症例は医師になりたての初期研修医が見つけてくれました。身体所見の大切さと先人のたゆまぬ努力を理解していただけたらと思います。
100本まで残り87本です。
PR
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.06.22,Thu
Clinical PictureがAcceptされました(12本目)
今回は消化器疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Chilaiditi syndrome;gas under the right diaphragm」です。
掲載雑誌は世界的に著明な米国の医療機関であるCleveland Clinicが発行する内科系雑誌「Cleveland Clinic Journal of Medicine(IF 1.8)」です。
症例はFree airとの鑑別が重要な疾患で胸部レントゲンで右横隔膜下にみえるAirが特徴的なChilaiditi syndromeについてです。Chilaiditi signはギリシャの放射線科医師 Demetrius Chilaiditi(キライディティ)によって報告されました。肝臓と右横隔膜の間に結腸が嵌入することで生じるのですが、無症候性のものをChilaiditi sign、症候性のものをChilaiditi syndromeと呼称します。
Chilaiditi症候群では上記のような状況にて一過性の便通異常や腹痛などの腹部症状を伴う他、本症例のように絞扼性腸閉塞を生じる場合があります。結腸(まれに小腸)が嵌まり込む原因として加齢やアルコールなどによる肝臓の萎縮や切除、上行結腸の固定が生まれつき緩い場合や、横隔神経麻痺などで横隔膜が弛緩していることなど複数の要因が関与するようです。なお健康診断のレントゲンで健康成人の10万人に2人がChilaiditi signを呈していたとの報告がありますが、実感としては遭遇する機会はもう少し多い印象です。ちなみにCTの存在しなかった時代には右横隔膜下のAirがFree airと勘違いされ、開腹に至ってしまった不幸な症例も報告されています(2020年7月25日追記)。
実はこの英文投稿を始めて一番最初にMinor revisionをいただいた雑誌になります。他誌に合計7回ものRejectをくらい続け、最後にダメもとでCCJMに出してみました。まさに捨てる神あれば拾う神あり…。2016年12月の末に提出してから、6か月の間に3回修正と加筆をしAcceptまで漕ぎ付けました。
100本まで残り88本です。
今回は消化器疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Chilaiditi syndrome;gas under the right diaphragm」です。
掲載雑誌は世界的に著明な米国の医療機関であるCleveland Clinicが発行する内科系雑誌「Cleveland Clinic Journal of Medicine(IF 1.8)」です。
症例はFree airとの鑑別が重要な疾患で胸部レントゲンで右横隔膜下にみえるAirが特徴的なChilaiditi syndromeについてです。Chilaiditi signはギリシャの放射線科医師 Demetrius Chilaiditi(キライディティ)によって報告されました。肝臓と右横隔膜の間に結腸が嵌入することで生じるのですが、無症候性のものをChilaiditi sign、症候性のものをChilaiditi syndromeと呼称します。
Chilaiditi症候群では上記のような状況にて一過性の便通異常や腹痛などの腹部症状を伴う他、本症例のように絞扼性腸閉塞を生じる場合があります。結腸(まれに小腸)が嵌まり込む原因として加齢やアルコールなどによる肝臓の萎縮や切除、上行結腸の固定が生まれつき緩い場合や、横隔神経麻痺などで横隔膜が弛緩していることなど複数の要因が関与するようです。なお健康診断のレントゲンで健康成人の10万人に2人がChilaiditi signを呈していたとの報告がありますが、実感としては遭遇する機会はもう少し多い印象です。ちなみにCTの存在しなかった時代には右横隔膜下のAirがFree airと勘違いされ、開腹に至ってしまった不幸な症例も報告されています(2020年7月25日追記)。
実はこの英文投稿を始めて一番最初にMinor revisionをいただいた雑誌になります。他誌に合計7回ものRejectをくらい続け、最後にダメもとでCCJMに出してみました。まさに捨てる神あれば拾う神あり…。2016年12月の末に提出してから、6か月の間に3回修正と加筆をしAcceptまで漕ぎ付けました。
100本まで残り88本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.06.01,Thu
Clinical PictureがAcceptされました(11本目)
今回は皮膚科疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Green nail syndrome」で掲載雑誌はまたまたまた英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
まさに名前の通り、緑膿菌感染に伴い爪が緑色に着色する疾患ですが、手指が水に長時間曝露される職業の方に起こりやすい疾患です。特にネイリストでは職業病といっても過言ではないようですね。本症の予防や治療は爪を乾燥させることなのですが、再発や治療に難渋するケースも多いと報告されています。ちなみに本症に関してはそもそも文献自体が非常に少なく明確な治療法なども完全には定まっていないようです。本症の治療方法としては抗菌薬塗布や抗菌薬内服、抜爪が行われてきました。近年では点眼抗菌薬の浸透療法の有効性がある程度示されています。
100本まで残り89本です。
今回は皮膚科疾患のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Green nail syndrome」で掲載雑誌はまたまたまた英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
まさに名前の通り、緑膿菌感染に伴い爪が緑色に着色する疾患ですが、手指が水に長時間曝露される職業の方に起こりやすい疾患です。特にネイリストでは職業病といっても過言ではないようですね。本症の予防や治療は爪を乾燥させることなのですが、再発や治療に難渋するケースも多いと報告されています。ちなみに本症に関してはそもそも文献自体が非常に少なく明確な治療法なども完全には定まっていないようです。本症の治療方法としては抗菌薬塗布や抗菌薬内服、抜爪が行われてきました。近年では点眼抗菌薬の浸透療法の有効性がある程度示されています。
100本まで残り89本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.05.26,Fri
Clinical PictureがAcceptされました(10本目)
今回は外科的緊急疾患のClinical PictureがAcceptされました。
記念すべき10本目です。100本はなかなか遠い!
タイトルは「Imaging, Superior Mesenteric Vein (SMV) sign & bowel ischaemia」で掲載誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
絞扼性イレウスやNOMI、そして今回の投稿症例である上腸間膜動脈閉塞症など腸管虚血を来たす疾患では、腹膜刺激徴候を伴わない激烈な疼痛(腸管穿孔に至っていない場合)を来たすのが特徴です。造影CTを撮影しなければ診断できない場合が多いのですが、単純CTしかとれない場合でも有用な所見として今回Acceptされた「Smaller SMV sign」があります。本来ならばSMA径のほうが細くなるのですが、静脈系の還流障害でSMVへの血流流量が減少し、SMA径に比べてSMV径が小さくなる逆転現象が起きます。
なお今回の投稿でわかったこととして、どうやら「Smaller SMV sign」は日本独自の表現のようです。投稿の際には「Smaller SMV sign」で投稿しましたが、Reviewerよりタイトルを修正するように指示がありました。実際にPubmedで検索してみましたが「Smaller SMV sign」という表現は全く検索にかかりませんでした。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
100本まで残り90本です。
今回は外科的緊急疾患のClinical PictureがAcceptされました。
記念すべき10本目です。100本はなかなか遠い!
タイトルは「Imaging, Superior Mesenteric Vein (SMV) sign & bowel ischaemia」で掲載誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
絞扼性イレウスやNOMI、そして今回の投稿症例である上腸間膜動脈閉塞症など腸管虚血を来たす疾患では、腹膜刺激徴候を伴わない激烈な疼痛(腸管穿孔に至っていない場合)を来たすのが特徴です。造影CTを撮影しなければ診断できない場合が多いのですが、単純CTしかとれない場合でも有用な所見として今回Acceptされた「Smaller SMV sign」があります。本来ならばSMA径のほうが細くなるのですが、静脈系の還流障害でSMVへの血流流量が減少し、SMA径に比べてSMV径が小さくなる逆転現象が起きます。
なお今回の投稿でわかったこととして、どうやら「Smaller SMV sign」は日本独自の表現のようです。投稿の際には「Smaller SMV sign」で投稿しましたが、Reviewerよりタイトルを修正するように指示がありました。実際にPubmedで検索してみましたが「Smaller SMV sign」という表現は全く検索にかかりませんでした。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)
100本まで残り90本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.04.30,Sun
Clinical PictureがAcceptされました(8本目、9本目)
今回は眼科関連のClinical Pictureが2本同時にAcceptされました。
タイトルは「Kayser-Fleischer ring: Wilson’s disease」「Panda sign: sarcoidosis」です。
Wilson病は国家試験でも頻出の疾患ですが、実際に診る機会は少なく(見逃している?)、早期発見は生命予後に明らかにかかわることが知られている遺伝性疾患です。原因不明の肝障害にくわえ、神経症状を呈する患者がいた場合には尿中銅や血清セルロプラスミンの測定が簡便で有用です。余談ですがKayser-Fleischer ringはつづりが難しく、学生時代に筆記試験で煮え湯を飲まされたことがある方も多いかもしれません。実際投稿時のタイトルを誤ってFreischerにしていたのですが編集者は全く気づいていませんでした。
Sarcoidosisも国家試験頻出の疾患で様々な病態を示す悩ましい疾患です。特に心サルコイドーシスは完全房室ブロックを引き起こし突然死の原因となります。今回はシンチグラフィの画像を提示しましたが、サルコイドーシスの患者ではGa67が眼、唾液腺に集積しやすいという特徴があります。
鼻は生理的集積の範疇ですが、これらをあわせるとまるでGiant Pandaのようにみえるということから、この名が付いています(参照)。なお鑑別疾患としてAIDS、結核、ベーチェット病で同様の所見を示すと言われています。
掲載雑誌はいずれも英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」になります。
100本まで残り91本です。
今回は眼科関連のClinical Pictureが2本同時にAcceptされました。
タイトルは「Kayser-Fleischer ring: Wilson’s disease」「Panda sign: sarcoidosis」です。
Wilson病は国家試験でも頻出の疾患ですが、実際に診る機会は少なく(見逃している?)、早期発見は生命予後に明らかにかかわることが知られている遺伝性疾患です。原因不明の肝障害にくわえ、神経症状を呈する患者がいた場合には尿中銅や血清セルロプラスミンの測定が簡便で有用です。余談ですがKayser-Fleischer ringはつづりが難しく、学生時代に筆記試験で煮え湯を飲まされたことがある方も多いかもしれません。実際投稿時のタイトルを誤ってFreischerにしていたのですが編集者は全く気づいていませんでした。
Sarcoidosisも国家試験頻出の疾患で様々な病態を示す悩ましい疾患です。特に心サルコイドーシスは完全房室ブロックを引き起こし突然死の原因となります。今回はシンチグラフィの画像を提示しましたが、サルコイドーシスの患者ではGa67が眼、唾液腺に集積しやすいという特徴があります。
鼻は生理的集積の範疇ですが、これらをあわせるとまるでGiant Pandaのようにみえるということから、この名が付いています(参照)。なお鑑別疾患としてAIDS、結核、ベーチェット病で同様の所見を示すと言われています。
掲載雑誌はいずれも英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」になります。
100本まで残り91本です。
プロフィール
HN:
Hiroki Matsuura
性別:
非公開
カテゴリー
最新記事
(10/31)
(09/18)
(07/29)
(07/19)
(05/17)
P R
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
Powered by "Samurai Factory"