英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2024.10.31,Thu
Clinical PictureがAcceptされました(85本目)
今回は気道緊急に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「A woman with double-tongue」です。掲載誌はItalian Society of Internal Medicineの機関誌「Internal and Emergency Medicine(IF 3.2)」になります。咽頭痛を主訴に来院される方の中には、見逃してはならない気道緊急を起こしうる代表的な疾患が5つあります。それらをまとめて「Five Killer Sore Throat」と記憶された方も多いでしょう(急性喉頭蓋炎、扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、Lemierre症候群、口腔底蜂窩織炎)。このうち口腔底蜂窩織炎はLudwig's anginaとも呼ばれ、歯周炎や齲歯、外傷によって口腔底に感染が生じ、疎性結合組織から感染が急激に拡大して気道緊急を来たす場合があります。本症の症状としては発熱や頚部痛、嚥下困難、開口障害などがありますが、特に開口障害は診察の際に評価しづらく見逃しやすいので注意しましょう。
さて今回のClinical Pictureで示した重要な身体所見は「Double tongue sign(二枚舌徴候)」になります。これは口腔底が感染により隆起して、まるで「舌」のようにみえることから名付けられました(Watari T, Tokuda Y. Double tongue signs in a case of submandibular space infection. BMJ Case Rep. 2018 Jun 29;2018:bcr2018225559.)。Ludwig's angina自体が少ないですし、そもそも気道緊急で焦っていて写真を撮影出来ていないこともあり、この身体所見の有用性については未だに定まってはいませんが個人的には非常に有用な身体所見だと考えています。
気道緊急を来たす咽頭疾患は対応を誤ると死に直結します。特に耳鼻科の緊急対応が困難な医療機関では「早期診断→転院搬送」が何より重要になります。「Double tongue sign」は視診の良いところが詰まっていますので明日からの診療に是非活かしていただきたいですね。
100本まで残り15本です。
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