英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.03.13,Tue
Clinical PictureがAcceptされました(34本目)
今回は感染に伴う脱髄疾患に関連するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Acute disseminated encephalomyelitis following HSV meningoencephalitis in adult」です。
Acute disseminated encephalomyelitis (ADEM)は日本語で急性散在性脳脊髄炎と呼ばれ、感染あるいはワクチン接種後に発症する比較的稀な脱髄性疾患として知られています。
原因となる病原体は多岐にわたり、麻疹、風疹、ムンプス、各種肝炎、HSV、CMV、EBV、HIVなどのウイルス感染にくわえ、マイコプラズマやサルモネラ、レジオネラ、カンピロバクターによる症例報告もあります。
上記にくわえ予防接種に続発する場合が多く、ADEMが小児に多い理由の一つとして予防接種を受ける回数が成人に比べて多いことが挙げられています。
今回の症例ではヘルペス髄膜炎に続発したADEMを報告しています。経過としては髄膜炎に罹患後にリハビリ中に突然の膀胱直腸障害と多発ニューロパチー、傾眠傾向があらわれたためMRIを撮影して診断に至りました。ADEMと多発性硬化症(MS)は類縁疾患と考えられており、症状や画像所見も酷似しています。見分け方としてMRIにおけるADEMの頭蓋内病変は「MSに比べて辺縁がはっきりしている」という何とも微妙な違いがあるそうです。
ADEMの予後は70-90%で回復し基本的に良好と考えられていますが、異常行動やIQの低下する症例が認められるほか、MSを続発した症例が数%あるとする報告もあります。
掲載雑誌は“Green Jounal”という別称をもつ著名な内科系雑誌「American Journal of Medicine (IF 5.55)」です。
100本まで残り66本です。
今回は感染に伴う脱髄疾患に関連するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Acute disseminated encephalomyelitis following HSV meningoencephalitis in adult」です。
Acute disseminated encephalomyelitis (ADEM)は日本語で急性散在性脳脊髄炎と呼ばれ、感染あるいはワクチン接種後に発症する比較的稀な脱髄性疾患として知られています。
原因となる病原体は多岐にわたり、麻疹、風疹、ムンプス、各種肝炎、HSV、CMV、EBV、HIVなどのウイルス感染にくわえ、マイコプラズマやサルモネラ、レジオネラ、カンピロバクターによる症例報告もあります。
上記にくわえ予防接種に続発する場合が多く、ADEMが小児に多い理由の一つとして予防接種を受ける回数が成人に比べて多いことが挙げられています。
今回の症例ではヘルペス髄膜炎に続発したADEMを報告しています。経過としては髄膜炎に罹患後にリハビリ中に突然の膀胱直腸障害と多発ニューロパチー、傾眠傾向があらわれたためMRIを撮影して診断に至りました。ADEMと多発性硬化症(MS)は類縁疾患と考えられており、症状や画像所見も酷似しています。見分け方としてMRIにおけるADEMの頭蓋内病変は「MSに比べて辺縁がはっきりしている」という何とも微妙な違いがあるそうです。
ADEMの予後は70-90%で回復し基本的に良好と考えられていますが、異常行動やIQの低下する症例が認められるほか、MSを続発した症例が数%あるとする報告もあります。
掲載雑誌は“Green Jounal”という別称をもつ著名な内科系雑誌「American Journal of Medicine (IF 5.55)」です。
100本まで残り66本です。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2018.03.01,Thu
Clinical PictureがAcceptされました(33本目)
今回は高安動脈炎に特徴的な血管所見に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Macaroni sign: Takayasu arteritis」です。
掲載雑誌は久々に英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
高安動脈炎は大動脈に炎症を生じる自己免疫性疾患であり、1908年に高安 右人 先生により初めて報告された疾患です。
20代から40代の若年女性に多く、未だその原因は不明です。
病初期では微熱や倦怠感など不定愁訴様の症状がメインであり診断が難しい疾患です。
その他詳細は成書を参照していただきたいのですが、脈拍の消失や血圧の左右差など特徴的な身体所見が存在し、「脈なし病」とも呼ばれます。
今回高安動脈炎のClinical Pictureについて強調したい点が一つあります。
高安動脈炎の診断が難しい理由の一つに疾患の発見から1世紀が経過した現在でも「特異的な血液検査や抗体検査が存在しない」ことが挙げられます。
身体所見から高安動脈炎を疑った場合には血管造影やCT、MRIなどが有用です。
その中でも頸動脈エコーは侵襲性が低く、今回取り上げた全周性の血管壁肥厚(Macaroni sign)を検出できれば確定診断にぐっと近づきます。
普段の外来で橈骨動脈を両側触知していますか?
ヒントはすぐそこに転がっているかもしれません。
100本まで残り67本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.02.21,Wed
Clinical PictureがAcceptされました(32本目)
今回はアミロイドーシスに特徴的な顔面所見に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Raccoon eye appearance: Amyloidosis」です。
「Raccoon eye appearance」は眼瞼周囲の皮下出血がアライグマ(ラクーン)に似ていることから名づけられた所見であり、外傷によって生じる場合は頭蓋底骨折を示唆する所見としても重要です。
アミロイドーシスが進行すると心臓(完全房室ブロック、心肥大)、腎臓(ネフローゼ、腎不全)、消化管(下痢、便秘)、末梢神経障害(感覚障害、麻痺、排尿障害)などに明らかな症状があらわれます。
以前は対症療法が中心で診断も治療も難しい疾患でありましたが、アミロイドーシスの種類によっては近年根治的治療が発展してきたものもあるため早期発見、早期診断、早期の専門医受診が非常に重要です。皆さんも外傷所見のない「Raccoon eye appearance」をみたときには鑑別疾患としてアミロイドーシスを忘れないようにしてください。
しかし外傷機転の存在しない「Raccoon eye appearance」はしばしば医療従事者を悩ませます。
この所見は全身性アミロイドーシスにかなり特異的な所見ですが、所見自体を知らないと袋小路に迷い込むことになるでしょう。
本症例も様々な医療機関をわたり歩いて当科へ受診されアミロイドーシスと確定診断に至りました。
アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれる異常蛋白が全身の様々な臓器に沈着することで症状を呈す疾患の総称です。全身性と限局性にまず大別されます。
全身性アミロイドーシスとして代表的なものが免疫グロブリン性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)、透析アミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシスなどが知られています。
全身性アミロイドーシスとして代表的なものが免疫グロブリン性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)、透析アミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシスなどが知られています。
限局性アミロイドーシスはアルツハイマー病やプリオン病などが代表的です。
アミロイドーシスはアミロイドの沈着具合によって症状に個人差があるため、病初期では不定愁訴に近い訴えが多く、しばしば確定診断に至るまで時間がかかり見逃される症例も多数存在すると考えられます。
アミロイドーシスが進行すると心臓(完全房室ブロック、心肥大)、腎臓(ネフローゼ、腎不全)、消化管(下痢、便秘)、末梢神経障害(感覚障害、麻痺、排尿障害)などに明らかな症状があらわれます。
以前は対症療法が中心で診断も治療も難しい疾患でありましたが、アミロイドーシスの種類によっては近年根治的治療が発展してきたものもあるため早期発見、早期診断、早期の専門医受診が非常に重要です。皆さんも外傷所見のない「Raccoon eye appearance」をみたときには鑑別疾患としてアミロイドーシスを忘れないようにしてください。
掲載雑誌は"Green Journal"という別称を持つ内科系雑誌「American Journal of Medicine(IF 5.55)」です。
100本まで残り68本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.01.15,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(31本目)
今回は非常に緊急性が高く重篤な感染症のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Conjunctival petechiae & Infective endocarditis」です。
「Infective Endocarditis」、感染性心内膜炎は感染症の中でも特別です。大変見つけづらく、発見が遅れると致命的で、さらに治療も難しい非常に厄介な疾患だというのは診療経験のある医師なら誰もが認めるところでしょう。
この感染性心内膜炎を示唆する身体所見は非常に多く知られています。代表的なものとして「Osler結節」「Janeway結節」「爪下線状出血」「Roth斑」といった所見がまず挙がります。しかしこれらの身体所見はIE全体でも5-15%程度でしか認められないという報告があります。よってこれらは感度が低く、特異度が非常に高い所見ということを認識する必要があります。
今回紹介する「Conjunctival petechiae (結膜出血)」も大体の内科学の教科書には当たり前のように記載がありますが、実際に目にした方は多くないと思われます。しかし頻度はJaneway結節とほぼ同様の10%程度とされており、IEを疑う患者或いは不明熱の患者ではぜひぜひ眼瞼結膜を注意深く確認してください。
写真に関しては、ここまで派手な結膜出血はおそらく世界的にも稀だと考えられます。
いつかどこかの教科書に採用されることを期待しています。
採用したいという方がいらっしゃればsuperonewex0506@yahoo.co.jpまでご一報ください。
以下リンクです。
「Conjunctival petechiae & Infective endocarditis」
掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科学会「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
100本まで残り69本です。
今回は非常に緊急性が高く重篤な感染症のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Conjunctival petechiae & Infective endocarditis」です。
「Infective Endocarditis」、感染性心内膜炎は感染症の中でも特別です。大変見つけづらく、発見が遅れると致命的で、さらに治療も難しい非常に厄介な疾患だというのは診療経験のある医師なら誰もが認めるところでしょう。
この感染性心内膜炎を示唆する身体所見は非常に多く知られています。代表的なものとして「Osler結節」「Janeway結節」「爪下線状出血」「Roth斑」といった所見がまず挙がります。しかしこれらの身体所見はIE全体でも5-15%程度でしか認められないという報告があります。よってこれらは感度が低く、特異度が非常に高い所見ということを認識する必要があります。
今回紹介する「Conjunctival petechiae (結膜出血)」も大体の内科学の教科書には当たり前のように記載がありますが、実際に目にした方は多くないと思われます。しかし頻度はJaneway結節とほぼ同様の10%程度とされており、IEを疑う患者或いは不明熱の患者ではぜひぜひ眼瞼結膜を注意深く確認してください。
写真に関しては、ここまで派手な結膜出血はおそらく世界的にも稀だと考えられます。
いつかどこかの教科書に採用されることを期待しています。
採用したいという方がいらっしゃればsuperonewex0506@yahoo.co.jpまでご一報ください。
以下リンクです。
「Conjunctival petechiae & Infective endocarditis」
掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科学会「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
100本まで残り69本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.01.13,Sat
Clinical PictureがAcceptされました(40本目)
新年最初のAcceptです。今回は皮膚科感染症に関するClinical Pictureでタイトルは「Herpes Zoster & Hutchinson's sign」です。今年もどんどん通します!Hutchinson's sign は爪の悪性黒色腫に関するものが有名ですが、鼻尖部に帯状疱疹の発疹・水疱を認めるものも紛らわしいですがHutchinson's sign と呼びます。 これは顔面の帯状疱疹に関する非常に有用な所見です。
解剖学的に簡潔に解説すると鼻尖部および鼻背部は三叉神経第1枝の支配領域であり、特に鼻尖部は鼻毛様体神経が分布しています。この鼻毛様体神経は眼球や結膜にも分布しているため、鼻尖部に発疹や水疱が認められた場合には眼病変を合併する確率がかなり高くなります。
よってHutchinson's sign を有する顔面帯状疱疹の患者は即座に眼科紹介し、経過に十分注意する必要があります。
(ただし、Hutchinson's sign がないからといって眼病変がない、というわけではありません。)
以下リンクです。
掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
100本まで残り70本です。
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