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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2018.02.21,Wed
Clinical PictureがAcceptされました(32本目)
今回はアミロイドーシスに特徴的な顔面所見に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Raccoon eye appearance: Amyloidosis」です。

「Raccoon eye appearance」は眼瞼周囲の皮下出血がアライグマ(ラクーン)に似ていることから名づけられた所見であり、外傷によって生じる場合は頭蓋底骨折を示唆する所見としても重要です。

しかし外傷機転の存在しない「Raccoon eye appearance」はしばしば医療従事者を悩ませます。
この所見は全身性アミロイドーシスにかなり特異的な所見ですが、所見自体を知らないと袋小路に迷い込むことになるでしょう。

本症例も様々な医療機関をわたり歩いて当科へ受診されアミロイドーシスと確定診断に至りました。
アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれる異常蛋白が全身の様々な臓器に沈着することで症状を呈す疾患の総称です。全身性と限局性にまず大別されます。

全身性アミロイドーシスとして代表的なものが免疫グロブリン性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)、透析アミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシスなどが知られています。
限局性アミロイドーシスはアルツハイマー病やプリオン病などが代表的です。
アミロイドーシスはアミロイドの沈着具合によって症状に個人差があるため、病初期では不定愁訴に近い訴えが多く、しばしば確定診断に至るまで時間がかかり見逃される症例も多数存在すると考えられます。

アミロイドーシスが進行すると心臓(完全房室ブロック、心肥大)、腎臓(ネフローゼ、腎不全)、消化管(下痢、便秘)、末梢神経障害(感覚障害、麻痺、排尿障害)などに明らかな症状があらわれます。

以前は対症療法が中心で診断も治療も難しい疾患でありましたが、アミロイドーシスの種類によっては近年根治的治療が発展してきたものもあるため早期発見、早期診断、早期の専門医受診が非常に重要です。皆さんも外傷所見のない「Raccoon eye appearance」をみたときには鑑別疾患としてアミロイドーシスを忘れないようにしてください。
掲載雑誌は"Green Journal"という別称を持つ内科系雑誌「American Journal of Medicine(IF 5.55)」です。
100本まで残り68本です。
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