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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2018.04.21,Sat
Clinical PictureがAcceptされました(36本目)
今回は希少なライソゾーム病であるFabry病に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Mulberry bodies: Fabry disease」です。

掲載雑誌は“Green Jounal”という別称をもつ著名な内科系雑誌「American Journal of Medicine (IF 5.55)」です。

Fabry病はライソゾーム酵素の一つであるαガラクトシダーゼが欠損・活性低下することで本来分解されなければならない糖脂質(GL-3)が様々な臓器に沈着し、様々な障害を引き起こします。

症状は沈着する臓器によって様々ですが、代表的な症状としては低汗症、四肢末端の疼痛、角膜混濁、心肥大に伴う心不全、早期の腎不全(50%の患者が43歳までに腎機能障害を呈し、53歳までに末期腎不全となるという統計あり)などが挙げられます。治療法は、本邦では2004年から2週間間隔の酵素補充療法が導入されており様々な症状の軽快が認められ有効であるとされています。

上記症状のうち特に身体所見は非常に漠然としたものであり、詳細な問診で鑑別疾患に本症があがるかがカギにになります。患者の腎機能、心機能を守るうえでも早期発見は重要です。「透析になってから見つかりました」では遅いのです。

また本症は伴性劣性遺伝疾患であるため1人の患者を見つけると芋づる式に患者が見つかる可能性があります。家族歴に若年での透析歴があったり、原因不明の心肥大などがあった場合には上記症状がないか確認するようにしましょう。

さて今回のClinical Pictureですが未治療のFabry病患者では尿沈渣で特徴的な渦巻き構造をもつMulberry小体があらわれます。なおMulberryは「桑の実」という意味です。このMulberry小体の発見が契機となり早期発見に至ったFabry病の症例報告は検索すると多数みつかります

本症は酵素補充療法で患者の予後が大きく変化する治療可能な先天性疾患です。

そのため低汗症や四肢末端の疼痛を訴えられる患者が来院された場合は、家族歴を確認することにくわえて検尿を追加し、検査技師に対して「Fabry病を疑っていますのでマルベリー小体はありませんか」とコメントを忘れずに添えてオーダーし、早期発見に繋げてください。

100本まで残り64本です。



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