忍者ブログ
英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
[77] [76] [75] [74] [73] [72] [71] [70] [68] [67] [69
Posted by - 2025.05.06,Tue
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by Hiroki Matsuura - 2018.04.09,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(35本目)
今回はダニ媒介感染症である日本紅斑熱のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Japanese spotted fever」です。

掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科学会「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。
「Japanese spotted fever(日本紅斑熱)」は1984年徳島県阿南市で馬原文彦先生によって発見された紅斑熱群リケッチア感染症です。近年感染者数が増加しており公衆衛生上大きな脅威となるダニ媒介疾患として知られています。以前も記載しましたが紅斑熱群リケッチアは細胞内寄生菌でありミノサイクリンドキシサイクリン(他にニューキノロン系)が有効ですが、ペニシリンなどは完全に無効であるため、適切な治療開始が遅れるとDICに陥り死亡します。

今回の症例は他県から搬送されてきた日本紅斑熱の症例であり、搬送時にはすでに意識障害とDICに陥っており救命できず、残念ながら愛媛県初めての死亡例となってしまいました。

以前遭遇した香川県2例目の死亡例や今回の症例はいずれも、患者は当院(三豊総合病院)に搬送される前に近医開業医を受診され「感冒」と診断、内服処方→紅斑出現後再診され「薬疹」と診断→状態悪化→当院搬送という流れを辿っていました。さらに本件では患者や患者家族が受診した開業医に対して「ダニに刺された」と申告しているのにもかかわらず残念な結果となっています。

如何に身体所見と病歴聴取が重要であるか、また地域のHealthCare Providerがダニ媒介疾患について理解しなければならないか、そして地域への啓蒙活動がいかに必要であるか考えさせられる反省点の多い症例でした。
元記事のリンクはこちら(追記:2018年10月19日)

なお本件以前の香川県での死亡例が出た際には。発生域内でのマダニのサーベイランスが行われる予定でしたがZika Virus感染症の発生と、予算・獣医師不足からサーベイランスは中止になった経緯があります。

四国は獣医師の数が少なく、加計学園の開学により獣医師不足の解消が期待されています。「獣医師は足りている」と主張する利権団体の傀儡のような某政治家の発言を見るたびに犠牲者が出ているのにも関わらず、獣医師不足からろくにサーベイランスも出来ない現状を理解しているのか、と腸が煮えくり返る気持ちになりました。

最後に2018年4月に加計学園に入学された皆様、周囲からの謂れなき非難に負けず、是非とも頑張っていただきたいと思います。

100本まで残り65本です。
PR
Comments
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
Hiroki Matsuura
性別:
非公開
P R
忍者画像RSS
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]