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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2021.12.01,Wed
Clinical Pictureが掲載されました(49)
先日アクセプトされた(2020年の8月ですが…)「Porcelain Gallbladder」がCGHの2021年12月号に掲載されています。

Porcelain Gallbladder」は直訳すると「陶器様胆嚢」となります。陶器様胆嚢は比較的稀な病態で、慢性胆嚢炎の一種として知られています。全周性に石灰化を来たしており、音響陰影のため超音波検査では内腔が描出されません。

陶器様胆嚢は以前から「発癌と関係があるか否か」が議論されている疾患です。画像診断技術の発達していなかった1950年代には20%程度の症例が胆嚢癌と関連するとされ、当時は確定診断がつき次第、積極的な外科的切除が勧められました。しかしその後の研究で、以前よりも癌化の確率が低いと考えられるようになっています(なお全周性の陶器様胆嚢は内腔の粘膜が石灰化しているため発癌に至らないのではないかという仮説が一部の研究者の間で唱えられていますが真相は果たして…。)

陶器様胆嚢は前述した通り比較的稀な疾患であり、他疾患の精査中に偶然画像検査で指摘される場合があります。基本的に経過観察でかまいませんが、ごく一部の症例では癌化する可能性が否定できないため、少しだけ注意しましょう。

以下Journal記事のリンクです。
Clinical Gastroenterology and Hepatology
Images of the Month
Porcelain Gallbladder
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Posted by Hiroki Matsuura - 2021.11.30,Tue
「診断エラー学のすすめ」に掲載されました(1)
今回はCadettoでの連載ではなく日経メディカル本誌に掲載された記事を紹介します。
タイトルは「通常とは異なるプレゼンテーションを呈した症例『少しのことにも、先達はあらまほしき事なり』吉田兼好」です。

皆様は「診断エラー」という言葉をご存知でしょうか?「エラー」という言葉自体にネガティブなイメージが内包されていますが、この「診断エラー」は診療に携わるドクターであれば誰しも起こしうる可能性があります。しかしアメリカの医療過誤を後方視的に調査した研究によると「診断エラー」を他の医療エラーと比較したところ、「最も患者の死に影響していた」と報告されています。

近年、海外ではレジデントや学生に対する教育分野として、「診断エラー」が非常に注目されており、米国ではSociety to Improve Diagnosis in Medicine (SIDM)という学会が設立されている程です。残念ながら日本において「診断エラー」の注目度はお世辞にも高いとはいえません。

日本病院総合診療医学会では若手部会にて「診断エラー部門」が発足しており、群星(むりぶし)沖縄臨床研修センター長の徳田安春先生を筆頭に、診断エラーに精通する先生方にご指導いただきながら活動を進めている次第です(と偉そうに書いたものの、普段は幽霊部会員で申し訳ありません
今回は日本病院総合診療医学会の若手部会「診断エラー部門」の一員として、連載記事の一部を担当させていただきました。実際にあった症例を少々改変、簡略化した上で「診断エラー」に至ったある感染症について紹介しています。

是非ともご参照ください。

日経メディカル・診断エラー学のすすめ
「通常とは異なるプレゼンテーションを呈した症例『少しのことにも、先達はあらまほしき事なり』吉田兼好」
Posted by Hiroki Matsuura - 2021.11.13,Sat
撮っておきClinical Picture!(Cadetto.jp)更新のお知らせ(25)
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2021年11月12日付で新しい記事が掲載されました。

タイトルは「若年女性の『青い眼』から想起したいあの疾患」です。
岡山市立市民病院では初期研修医に対して「女性をみたら妊娠と思え」以外にも
「女性をみたら〇〇と思え」と指導しています。〇〇に当てはまる病名は何でしょう?
侵襲性の低い「視診」の所見になりますので、明日からの診療に活用いただけますと幸いです。

ぜひともご参照ください。

以下、記事のリンクです。
Posted by Hiroki Matsuura - 2021.10.09,Sat
Clinical Picture(Case report)が掲載されました(48)
先日アクセプトされました「Amiodarone-induced pneumonitis」がQuarterly Journal of Medicineの2021年6月号に掲載されています(もう10月略)。

Amiodaroneは難治性、致死性の不整脈に古くから使用されている抗不整脈薬です。難治性の心房細動や心室細動にくわえ、低心機能や肥大型心筋症に伴う心房細動が適応になります。特殊な作用機序を有しており、治療抵抗性の不整脈に対して「替えのきかない」重要な薬剤であるという反面、非常に多くの副反応を有します。代表的な副反応には本症例のようなアミオダロン肺障害、甲状腺機能異常、肝障害、角膜障害、色素沈着などが挙げられます。アミオダロンは製剤100mgのうち37mgもヨウ素が含まれており、非常に脂溶性の高い構造をしていることにくわえ半減期が長いことから、長期間の使用で臓器への蓄積が起こりやすいのです。

これらの副反応のうちとりわけ危険性が高く、ときに致死性の経過を辿るのが本剤による肺障害です。既報によると年齢が60歳以上、投与期間が半年以上の群で高リスクとされています。また総投与量も重要であり101g超えると、肺障害のORは10倍に跳ね上がります。

本症例では新型コロナウイルス感染症流行の影響もあり、原因不明の肺炎として診断に至るまで長い時間を要しました。経過中にあらためて撮影されたCTを確認すると体型や生活習慣に不釣り合いなほどCT値の高い肝臓が目を引きました。これはアミオダロンの長期使用の影響でヨウ素が肝臓に沈着し、まるで造影剤のように肝臓の輝度を引き上げていたことが理由です。肝臓の輝度の高さからアミオダロンによる臓器障害を疑い、本剤を中止したところ肺障害は改善しました。

以下Journal記事のリンクです。
Quarterly Journal of Medicine
Clinical Pictures
Amiodarone-induced pneumonitis
Posted by Hiroki Matsuura - 2021.09.22,Wed
撮っておきClinical Picture!(Cadetto.jp)更新のお知らせ(24)
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2021年9月22日付で新しい記事が掲載されました。

タイトルは「爪の変色から推測できるあの生活歴」です。
久々に「爪」を取り上げました。ぜひともご参照ください。

以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
爪の変色から推測できるあの生活歴
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