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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2020.11.02,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(62本目)
今回は感染症と大腸癌に関連するCase ReportがAcceptされました。タイトルはLactobacillus Bacteremia: A diagnostic clue of Rectal Cancerです。掲載誌は長らくAcceptから遠ざかっていた英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of MedicineIF 2.529)」です。

今回の症例は突然の発熱と悪寒戦慄で搬送されてきた高齢女性の血液培養からLactobacillus属菌が検出され、悪性腫瘍による消化管粘膜の破綻から菌血症を生じたと考えてCSを実施し、未指摘の直腸癌を診断したという症例です。

一般的にはプロバイオティクスとして腸内環境を正常に保つ働きのあるLactobacillus属菌ですが、Pubmedで検索すると意外にも菌血症や肝膿瘍、細菌性髄膜炎などを生じた症例報告が出てきます。
既報によるとLactobacillus属菌による菌血症のリスク群は事前の入院歴、中心静脈栄養使用、ステロイドユーザー、糖尿病患者、悪性腫瘍(特に白血病)、広域抗菌薬使用、臓器移植術後、HIV感染がありました。それにくわえて腸管粘膜の破綻が生じている虚血性腸炎IBD、そして消化管悪性腫瘍では本種による菌血症が増加するとされています。

大腸癌に関係する菌血症の菌種としてはStreptococcus bovisClostridium septicumが非常に有名です。しかし菌血症としては決して一般的でないLactobacillus属菌が検出された場合にも消化管悪性腫瘍の検索を忘れないようにしましょう。

100本まで残り38本です。
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