英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.09.26,Sat
Clinical PictureがAcceptされました(61本目)
今回は非常に珍しい遺伝性の血液疾患に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Hemolytic crisis of Hereditary Spherocytosis」です。掲載誌は卒後医学教育に先進的な変化をもたらした英国の非営利団体Fellowship of Postgraduate Medicine (FPM)が発行している100年の歴史と伝統を誇る教育誌「Postgraduate Medical Journal (IF 1.911)」です。本症例では感冒症状があらわれた後に眼瞼結膜の貧血、眼球結膜の黄染が出現し救急外来を受診された成人男性のケースです。精査の結果、遺伝性球状赤血球症が判明し、伝染性紅斑に伴う溶血性貧血と診断されました。画像検査でも年齢に不相応な立派な?胆嚢結石、そして脾機能亢進に伴う脾腫が確認できました。
遺伝性球状赤血球症(Hereditary spherocytosis)は本邦において最も頻度の高い遺伝性溶血性貧血であり、多くの症例で常染色体優性遺伝形式を呈します。これは赤血球の膜表面に存在する膜蛋白に異常が生じるもので、赤血球の変形能の低下により溶血が起こりやすくなるのが原因となります。
そして感染などをきっかけに溶血発作が進む場合があり、特にパルボウイルスB19感染による伝染性紅斑では無形成発作を引き起こし、本症例のように重篤化することも珍しくありません。
一般的に遺伝性球状赤血球症は溶血に伴う黄疸、胆嚢結石、慢性貧血などを伴うことが多く、精査中に偶然発見されることもあるようです。
貧血が重篤な場合には脾摘術が考慮されますが、脾摘後は莢膜を有する細菌感染症への抵抗力が著しく低下することから、肺炎球菌ワクチンなどの接種を忘れないようにしましょう。
100本まで残り39本です。
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