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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2020.08.14,Fri
Clinical Pictureが掲載されました(41)
先日アクセプトされました「Starry sky in the abdomenがLancet Gastroenterology and Hepatologyの2020年度8月号に掲載されています。 

今回の症例は若年のベトナム人女性が慢性の腹痛で受診され、結核性腹膜炎と診断されたケースです。結核性腹膜炎は全結核患者の0.5%程度に認められる非常に稀な疾患ですが、確定診断が極めて難しい疾患としても知られています。

本症の診断を困難とする要因としては特異的な検査が存在しないことが挙げられます。一般的に結核性腹膜炎では腹水を採取し結核菌に対するPCRや培養検査を行いますが、感度が非常に低く特に後者では15-30%程度でしか陽性になりません。診断に関しては腹水中のADAを測定することが有用ですが、ADAの結果がはっきりしない場合や腹水を安全に穿刺できない場合には、腹腔鏡を用いた直視下での観察と生検が実施されます。本症例ではまさに腹水穿刺路が確保できず、臍部から腹腔鏡を挿入し、直視下での観察にくわえ腹膜と大網を切除し病理検査を行いました。その際に採取された腹水は滲出性かつADAは高値を示しましたが、培養や結核菌PCRはやはり陰性でした。しかし大網の切除標本から顕微鏡下にラングハンス巨細胞が確認されたことにくわえ、腹腔鏡下で粟粒状の結節が腹腔内に広く観察されたことから結核性腹膜炎と診断し、抗結核薬にて治療を実施しました。

本症の治療は通常の結核治療と同様であり、一般的にはREF+PZA+INH+EBの4剤併用を2か月、さらにREF+INHの2剤併用を4か月(計6か月)実施します。

肝硬変のない若年者の原因不明の腹水を診た際には結核性腹膜炎を鑑別の1つとして忘れないようにしましょう。

以下journal記事のリンクです。
Lancet Gastroenterology and Hepatology
Clinical Picture
Starry sky in the abdomen
※有料会員のみ閲覧可能です

ぜひともご参照ください
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