英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.07.21,Tue
Clinical PictureがAcceptされました(59本目)
約4か月ぶりのAcceptになりました。コロナ禍のせいにはしたくないですが、Clinical Picture投稿はかなり滞っています。しかし「With コロナ」の時代は対面式の診察方法が制限され、より直感的な診断力を磨く必要があると感じています。雌伏のときこそClinical Pictureで大いに学びましょう。さて前置きが長くなりましたが、今回は内分泌疾患に関わるClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Milphosis: Hypothyroidism」です。掲載誌は世界的に著明な米国の医療機関、Cleveland Clinicが発行する内科系雑誌「Cleveland Clinic Journal of Medicine(IF 1.855)」です。
甲状腺機能低下症では様々な身体所見があらわれることが知られていますが、代表的なものに非圧痕性浮腫、徐脈、嗄声などが挙げられます。そして脱毛も頻度が高く認められる所見の一つです。よく知られた脱毛所見として「眉毛の外側3分の1が抜ける所見」は「Hertoghe徴候」と呼ばれ、甲状腺機能低下症やアトピー性皮膚炎で特徴的です。
今回取り上げたClinical Pictureは眉毛ではなく、睫毛の脱落です。「睫毛のみの脱落」は「Milphosis」と呼ばれ、甲状腺機能低下症や帯状疱疹、ハンセン病、尋常性乾癬、皮膚悪性腫瘍、薬剤性(ヘパリン、ACEi)などで観察される場合があります。ちなみに「眉毛と睫毛がともに脱落した状態」は「Madarosis」と呼ばれ区別されます。
甲状腺機能低下症では毛髪の休止期脱落が高頻度に生じるため脱毛に繋がります。なお毛根の休止期が早期に終了することで毛髪が細く脆弱になった結果、休止期脱落が生じるとされています。
下腿浮腫と倦怠感を主訴に初診外来に来院された本症例ですが、顔を観察した際に「Milphosis」に気付いたことで比較的早期に甲状腺機能低下症という診断に至りました。
特に女性では睫毛や眉毛は化粧で修飾され、元の状態とは程遠い場合が多々あります。甲状腺機能低下症を疑う病歴のある患者さんが来られた際には、一度眉毛や睫毛の状態を確認してみましょう。
100本まで残り41本です
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