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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.27,Sun
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Posted by Hiroki Matsuura - 2018.06.14,Thu
Clinical PictureがAcceptされました(39本目)
今回は泌尿器科救急疾患であり、陰部の壊死性筋膜炎である「フルニエ壊疽」のClinical PictureがAcceptされました。タイトルはそのまま「Fournier's gangrene」です。

掲載雑誌は世界的に著明な米国の医療機関であるCleveland Clinicが発行する内科系雑誌「Cleveland Clinic Journal of Medicine(IF 1.8)」です。

1883年にFournierは陰嚢腫脹を呈する急性の男性器壊死の6例を報告しました。本症の名前の由来です。近年では性差なく陰部や肛門周囲から生じた壊死性筋膜炎をまとめてフルニエ壊疽と呼びます。

他の壊死性筋膜炎と同様に致死率が極めて高く、リスクファクターとして糖尿病、慢性アルコール多飲、悪性腫瘍、ステロイドの使用などが挙げられます。

フルニエ壊疽は壊死性筋膜炎の亜型になりますが、救命のためには早期診断が重要であり適切な抗菌薬使用と迅速なデブリードマンが欠かせません。本症例では来院時に腹腔内まで壊死が進行しており、全身状態が極めて悪かったため救命はかないませんでした。

診断に関しては早期に蜂窩織炎と鑑別が必要であり、一説によると15-34%程度しか正診されていないという報告もあります。他の壊死性筋膜炎と同様に、診断にはLRINEC score(ライネックスコア)が有用です。

(中京病院 救急科科長 黒木 雄一 先生のSlide shareよりお借りしました)

近年では高圧酸素療法の実施が検討されており、有効性についての研究が進められています。
救急の現場で本症を目の当たりにすると背筋も凍るような思いがしますが、迅速な診断と治療で救命に繋げてください。

100本まで残り61本です。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2018.06.13,Wed
Newsweek誌にClinical Pictureが紹介されました(1)
昨年2017年にQJMに掲載された「Minocycline-induced hyperpigmentation」がアメリカの週刊誌として著名な「Newsweek」に取り上げられました。

一般的な抗菌薬であるMinocyclineによる色素沈着がNEJMに掲載された際に、Newsweek誌で取り上げられ、関連記事として同様に紹介されたという経緯です。



メディアの力は凄まじく、掲載雑誌での閲覧数もうなぎ上りです。
Clinical Pictureが一般紙に取り上げられる機会はなかなかないでしょうが、良い経験となりました。

以下、Newsweek誌のリンクです。
是非ともご参照ください。
Man's ears and whites of his eyes turned blue—here's why Newsweek, 20 Apr 2018」

またQJMに掲載されたClinical Pictureのリンクも併記しておきます。
こちらも是非ご覧ください。
Minocycline-induced hyperpigmentation
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.06.12,Tue
Clinical Pictureが掲載されました(21)
先日アクセプトされました「Milian's ear sign」と「Conjunctival petechiae and infective endocarditis」の2本がQuarterly Journal of Medicineの6月号に同時に掲載されています。

以下Journal記事のリンクです。
Milian's ear sign
Conjunctival petechiae and infective endocarditis

なお本号のQJMではClinical Pictureのセクションにおいて6本中5本が本邦からの報告となっています。

北九州総合病院の友田 義崇 先生「Eagle's syndrome
東京城東病院の長野 光 先生「Multiple gout tophi
慶応義塾大学附属病院の胡谷 俊樹 先生「Anti-aminoacyl tRNA synthetase antibody-positive clinically amyopathic dermatomyositis

是非ともご参照ください。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.06.09,Sat
Clinical Picture(Case Report)がAcceptされました(38本目)
今回は非常に珍しい細菌による敗血症のCase reportがAcceptされました。
タイトルは「Sepsis & Leclercia adecarboxylata」です。

掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科学会「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。本誌にはこれまで多数のClinical Pictureを投稿し掲載に至っておりますが、Case reportがAcceptされたのは今回が初めてです。

「Leclercia adecarboxylata」は1962年に発見され、Escherichia属のひとつとして分類されていましたが、近年の遺伝子研究により遺伝的な差異が大きいことから新属「Leclercia」に再分類された菌種になります。2018年現在同属に分類される細菌は本菌のみです。

さてこのような経緯のある本菌ですがヒトの臨床材料から検出されるCaseは非常に限定的であり、検索した限り2018年4月現在でわずか16報24例しかありません。菌血症のCaseになると10例程度です。本邦に限定すると自験例を含めて3例、菌血症に関しては本邦初の症例報告になります。

これほど珍しい菌種なのですが市販の自動細菌検査機器には同定可能な菌種として収載されているようです。一説には環境中の腸内細菌群の3%弱が本菌であったという報告もあります。

本菌種による菌血症は易感染性宿主で多く、また皮膚バリア機能の破綻が関係しており、戦傷を含む外傷や腹膜透析、経皮カテーテルや蜂窩織炎による症例が報告されています。

本菌の抗菌薬感受性は良好である場合がほとんどですが一部でESBL産生菌や多剤耐性菌が報告されており、特記すべきは養豚場での耐性菌発症例があることです。

近年耐性菌に対するアクションプランが策定され全世界的に抗菌薬適正使用の機運が盛り上がっています。しかし我々医師が不要な抗菌薬処方を減らすだけでは耐性菌の発生は止められません。どうしてもヒトに対する抗菌薬処方について取り上げられがちになりますが、アクションプランには「動物に対する抗菌薬使用」についても記載があります。

本邦を含め世界中で、畜産動物に対する抗菌薬使用がかなり酷い状況であることは以下を一瞥していただければ即座にご理解いただけるかと思います。古いデータになりますが2002年にヒトに使用された抗菌薬は509トン、一方動物に対しては994トンとヒトの2倍程度が使用されており、そのうち成長促進目的の抗菌薬添加飼料が168トン、農薬として371トンが使用されています。このような環境下では様々な細菌が抗菌薬曝露に伴い耐性化していくのは火を見るより明らかです。

本菌は確かに「珍しい」菌種ではありますが、「珍しい症例でした、報告終わりです」ではなんの意義もありません。この珍しい菌種でさえ「耐性化」が進んできており、畜産動物に対する抗菌薬使用への問題提起と継続的なモニタリングが重要であることを医療従事者に知らせるために本症例をまとめました。

耐性菌の発生予防は世界的な問題です。ひとりひとりの意識の変化で確実に変わります。まずは「とりあえずクラビット」「ねんのためメイアクト」「カゼだからセフジトレンピボキシル」をやめませんか。私はこの3年クラビットは一回も処方していません(研修医になってからは日本紅斑熱と他剤にアレルギーのある患者に数回処方したのみです)。

なお本症例は2018年5月末から6月にかけて開催されました日本感染症学会にてポスター発表させていただきました。「学会発表」で終わり、というのは少々もったいないと思います。発表したものをぜひぜひ「論文」として形にしましょう。

100本まで残り62本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.05.17,Thu
Clinical Picture(Case Report)が掲載されました(20)
先日アクセプトされました「Family Cluster of Japanese Spotted Fever」がAmerican Journal of Tropical Medicine and Hygiene の2018年度 第3集(5-6月号)に掲載されています。

日本紅斑熱をはじめ、ツツガムシ病、ライム病、ダニ媒介性脳炎、アナプラズマ症、重症熱性血小板減少症(SFTS)やクリミア・コンゴ熱などダニ媒介性疾患は世界中で発生が認められており公衆衛生上大きな問題です。

地域の医療従事者だけでなく住民に対して適切な情報提供を行い予防啓発に努めるのも医師としての大きな役割です。特にマダニ咬傷の予防は非常に重要です。これまで日本紅斑熱の非浸淫地域であると考えられた場所であっても身体所見から本症を疑う場合は保健所に連絡し、連携を取りながら積極的に検査を進めてください。

以下Journalの記事です。

American Journal of Tropical Medicine and Hygiene
Family Cluster of Japanese Spotted Fever
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