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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2019.12.13,Fri
1.同意書の書式はどうしていますか?
今回はClinical Picture投稿に際して必要となる同意書について紹介します。これはあくまでも私見にすぎません。施設で内規が決まっている場合もあるので各々確認をお願い致します。

さて「患者さんからいただく同意書の書式はどうしているのか」という質問は私がClinical Picture投稿について受ける際にいただくご質問として恐らく最も多いものと考えられます。

私が勤務した医療機関はこれまで3施設にすぎませんが、いずれの施設でも同意書の雛型というものは存在していなかったので自作の同意書を作成していました。

文面に関しては「BMJ Group」が使用している書式を参考に英文で作成しています。
(リンクはこちら→BMJ Group Patient Consent Form

同意書の雛型についてですが実際に現物が見てみたいという方がいらっしゃいましたらメールでお送りいたします。問い合わせはこちら

ただし独自の同意書しか受理しないという雑誌も一部にあり、注意が必要です。代表的なのはMJA(The Medical Journal of Australia)です。

2.同意書はどのような場合に取得しているの?
同意書はClinical Picture投稿にする可能性が少しでもあるものについては全てのCaseで取得しています。以前はQJMの規約に「Clinical Pictureでは顔など患者の特定につながるものでなければ提出は不要」との文言がありました。しかしながら同誌では最近「爪」の写真であっても同意書を求められるようになってきており、不測の事態に備えて全例で同意書をいただくようにしています。

なお基本的には「自作の同意書+CMAJ+Lancet+BMJ」の4枚の同意書を取得しています。
いただいた同意書は全てScanしてPDFで取り込み、原本もファイルし保管しています。

さらに同意書をいただいた旨をカルテに記載しています。
文言は「経過中にデジタルカメラや医療機器で撮影された臨床画像を使用した論文投稿(国内の医学雑誌を含む)について同意を得た。同意書取得済。」のような感じです。

CMAJのConsent Formはこちら
LancetのConcent Formはこちら
※PDFが開きます
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Posted by Hiroki Matsuura - 2019.10.24,Thu
英文誌の特徴(Internal Medicine編)
Internal MedicineのClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。今回は他誌の紹介に比べて批判が多めです。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。

1.歴史
Internal Medicineは日本内科学会から発行される英文誌です。

2.内容
Internal Medicineは年24回(2回/月・毎月2日、15日)発行される雑誌であり、臨床現場で役立ち医学教育に資する雑誌を掲げ、内科医の育成および内科学の発展に寄与することを目的(日本内科学科HPより)としています。2018年のIFは0.956であり、Case reportを多数掲載することを勘案しても少し物足りない値です。

本誌のなかでClinical Pictureを扱うセクションは「Pictures in Clinical Medicine」です。

3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると
1. 字数は「150 words
2. 画像は「4枚以下
3. なお画像の説明文は不要です
4. Referenceは「2本以下
5. Author数は「4名以下
6. タイトルは「8 words以内
7. 日本内科学会会員に限り投稿料は無料、それ以外は「300$

4.査読
査読については規定に特別の記載があるわけではありません。特に紹介できることもないので以下に私がIMに投稿した際に経験した幾つかの出来事について紹介します。

【字数制限】
上述したとおり「150 wordsが制限」とAuthor Informationに記載があります。150 wordsが制限の英文誌といえばNEJMが有名ですが、提出の際には150 wordsを超過し200 wordsを超えていることも少なくありません。しかしながらIMでは157 wordsであっても字数制限のため修正提出を要求されました。10%程度の超過は一般的に許容範囲なのではないでしょうか。

それについて問い合わせメールを送ったところ「規定では150 words以内としておりますが、10 words程度の超過は認めているため、IM-受付番号-17-Pは受付させていただきました」との返信が…。
 
【査読期間がとにかく長い】
AcceptされたClinical Pictureはこれまで2本ありました。最初にアクセプトされた症例(Uvula Hematoma)では提出から30日程度で第一報が返ってきました。2本目(Calcium channel blocker-induced gingival overgrowth)に関してはなんと150日の査読期間を要しました。90日経過してもScholar One ManuscriptのStatusすら変化がないため、業を煮やして問い合わせをしたところ、事務局よりすぐに返信はあったもののさらに60日経過してから返信がありました。

NEJMでは90日程度かかる場合もザラにあり(200日でのReject経験もあり)、査読期間が長いものだという心構えがありましたが、IMでここまで待たされるとは思ってもみませんでした。QJMやGastroenterologyの1週間、CMAJのきっかり14日間に慣れている身としてはClinical Pictureの分野でこの期間はどうなの?と疑問を感じざるをえません(CCJMもかなり長いですが60日は今のところ超えていません)。

このCaseに関しては写真として非常に綺麗であったので、IFの低さも併せると他誌に投稿すれば良かったと本当に後悔しています。

【謎の理由でReject】
最後にRejectされたCaseについて記載します。ある症例を提出したところ数点の修正事案がありました。Reviewerの指摘に沿って修正をし再提出を行ったところ「前回のコメントに対する修正が不十分です。Imageだけでは得るものが少ないので病態生理も併せて検討できる症例報告へ再投稿を」とだけ記載がありReject…3ヵ月以上の時間が経過していました。「前回のコメントに対する修正が不十分」だけであれば納得しますが、後半に関しては全くもって意味がわかりません。じゃあなぜMinor Revisionという返信をしたのかと問いたくなります。結局そのCaseは他誌に投稿し現在修正待ちとなっています。

査読者はボランティアであり、業務の合間をぬって評価をいただいていることは重々承知です。しかしながら、その他IMに投稿経験のある医師(Clinical Picture以外でも)に話を聞くと、IMでは今回のような事態は私に限らず、いろいろなところでしばしば起きているように思われます。

CMAJのように査読の流れをすべて公開せよ、とまではいいませんがもう少し改善の余地があるのではないでしょうか。以上のようなことが続いていますので、私がIMの「Pictures in Clinical Medicine」に投稿することは今後しばらくありませんし、そしてオススメすることもありません。

5. Accept後
Accept後、1-2週間程度でArticle in pressとして掲載されます。Accept後に3-4か月程度でProofの確認がありましたが特筆するような注意点はありません。

6.その他
事務的な対応は日本語でできるのが強みです。逆にIMで良いところはそこだけです。繰り返しになりますが本記事で紹介した内容はあくまでも私見です。IMが良いと思う方は是非今後も投稿してください。
Posted by Hiroki Matsuura - 2019.05.26,Sun
英文誌の特徴(Gastroenterology編)
GastroenterologyのClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。

1.歴史
Gastroenterologyは米国消化器学会の学会誌です。

2.内容
Gastroenterologyは年24回(2回/月)発行される雑誌であり、臓器別の長大な臨床研究からVideoを用いた症例報告に至るまで様々な記事が掲載されています。2018年のIFは20.773であり、消化器領域の英文誌のなかで最も高いIFを誇る世界最高の医学誌の一つです。

本誌のなかでClinical Pictureを扱うセクションは「Clinical Challenges and Images in GI」です。

3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると

1. 字数は「1pageに収まる量
2. 画像は「2」以内、3枚以上はSupplement file扱い
3. Referenceは「3本以下
4. Authorは「3名以下
5. 本セクションはクイズ形式であり「問題編」と「解答編」を作成する必要あり。
6. 本セクション投稿時には「20$」の投稿料が必要(追記:2020年9月23日)

4.査読
AcceptされたClinical Pictureでは35日程度で第一報が返ってきました。そこまで厳しい修正意見が飛んできた訳ではありませんでしたが、タイトルを含め11個ほど修正を求められました。これまでの経験上NEJMについで修正数が多く、対応がそれなりに大変でした。

5. Accept後
Accept後、3営業日程度でArticle in pressとして掲載されます。Accept後に2か月程度でProofの確認がありましたが、内容のチェックというよりは適切な単語への置き換え、誤植のチェックに限られ48時間以内の修正を求められます。

6.その他
事務的な対応なども「一般的」で特筆するような注意点はありません。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.12.03,Mon
※残念ながら2021年9月でClinical Pictureの受付は終了されたようです(追記:2021年9月17日)
英文誌の特徴(Postgraduate Medical Journal 編)

Postgraduate Medical Journal (PMJ) のClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。

1.歴史
英国の卒後教育であるFellowship of Postgraduate Medicine(初代総長:Sir William Osler)の学会誌として1925年に創刊された雑誌です。現在もFPMの学会誌という立場は変わりませんがBMJ groupとして発行が継続されています。

2.内容
PMJは年12回(月刊)発行される雑誌であり臨床研究から症例報告に至るまで様々な記事を掲載しています。Author Informationにも記述がありますが、設立された経緯からも医学教育や医学教育研究に力を入れているJournalです。ちなみに2018年のIFは2.078です。

3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると

1. 字数は「250 words
2. 画像は「2」以内
3. Referenceは「5本以下
4. Authorは「2名以下
5. Pictureのセクションはあまり刺激の強い写真を求めていません

4.査読
AcceptされたClinical Pictureでは14日で第1報が返ってきました。日本海裂頭条虫の記事であったので、修正点に関しては疫学に関する内容と感染の予防(魚の調理の仕方)について加筆を求められましたが、そこまで厳しい修正意見が飛んできた訳ではありませんでした。

5. Accept後
Accept後にさらに14日程度でProofの確認がありました。同時にOpen Acsessについての希望を確認されました(PMJは全ての記事がOAであるため、記事公開には1950GBP・現行レートでおよそ28万円必要)。私もClinical Pictureのみの公開に28万円を支払う金銭的な余裕はないので、支払っていません。その代わり著者用の無料PDFが後日雑誌側からeメールでLinkとともに送られてきました。

6.その他
OAの費用以外は事務的な対応なども「一般的」で特に特筆するような注意点はありません。
個人的にはClinical PictureのOA費用くらい安くしてくれたらいいのに…と感じるくらいです。やはりClinical Pictureは学生さんを含め、多くの方に読んでいただきたいという気持ちが強く、OA費というネックから今後投稿を躊躇すると思われます(とは記載していますが意外に相性が良く、懲りずに出し続けています。追記:2019年10月11日)。掲載記事はいずれもQualityが高く、非常に勉強になるものばかりで素晴らしいJournalだと感じています。ただOA費が…。

またメールでは丁寧な対応をしてくれます。投稿後時間が経過している場合には「Mansucript status update on postgradmedj-(投稿番号)-awaiting editorial decision」と題したメールが送られてきます。内容は大体「もうすぐDecision Letter」が行きますというもので大体10日以内には最終結果が返ってくる印象です(追記:2019年10月11日)。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.11.28,Wed
英文誌の特徴(European Heart Journal 編)
European Heart Journal (EHJ) のClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。

1.歴史
EHJは1980年にEuropean Society of Cardiologyの学会誌として創刊されました。学会誌として多数の臨床研究を掲載しているだけでなく、循環器領域全ての疾患に対して欧州におけるガイドラインを策定しており、世界中の循環器内科の診療方針に多大な影響を与える雑誌です。

2.内容
EHJは年48回(週刊)発行される雑誌であり、大規模な臨床研究を多数掲載するメガジャーナルです。123ある循環器内科学の英文誌の中で最も高いIFを誇ります。その値なんと23.425

こんな雑誌にもClinical Pictureのコーナーがあるのですが、その名も「Cardiovascular Flashlight
なんかかっこいい…。

3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると

1. 字数は「250 words以下
2. 画像は「1枚」以内、循環器領域に関わるものなら何でもOK
3. Referenceは必要ありません
4. Authorは「4名以下
5. Cardiovascular Flashlightは雑誌の裏表紙に使用されます

4.査読
循環器内科の先生方は検査も治療もスピーディーな方が非常に多いですが、雑誌でも同様の傾向が認められるのか、私が掲載された記事に関しては査読も返信も掲載も異常に早かったです。

5. Accept後
Accept後、1週間程度でProofが届き修正を実施します。本掲載も3週間後と何から何まであれよあれよという間に進み、他の雑誌では経験したことのないスピードに正直面喰いました。

6.その他
あくまでも私見ですが「Cardiovascular Flashlightは裏表紙に使用される」という記載がAuthor Informationにありますので年間48本掲載となると需給は逼迫しているのではないかと推察されます。今回掲載に至った「ダビガトラン食道炎の内視鏡写真」は循環器内科雑誌に上部消化管内視鏡写真が掲載されるという非常に異質なものでしたが、循環器内科医が知るべきDOACに関する内容でした。以上を踏まえると「循環器内科が見落としがちな、他の専門科に跨る循環器疾患」というのが、非専門医がCardiovascular Flashlightの掲載を狙うために必要な点ではないかと考えます。今後私も2本目の掲載を狙っていきます。
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