英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2021.02.23,Tue
Clinical PictureがAcceptされました(66本目)
今回は終末大動脈に生じる中枢型の閉塞性動脈硬化症に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Leriche syndrome」です。掲載誌は世界的に著明な米国の医療機関、Cleveland Clinicが発行する内科系雑誌「Cleveland Clinic Journal of Medicine(IF 1.855)」です。Leriche症候群は動脈硬化を主な要因とし、腹部大動脈下端から総腸骨動脈にかけて慢性の大動脈閉塞症を来たす疾患です。造影CTでは腎動脈以下の腹部大動脈本幹が描出されず、以下のような衝撃的な画像を示します。
元画像のリンクはこちら(追記:2021年9月7日)
本症の古典的な三徴は①間欠性跛行 ②下肢脈拍消失 ③勃起不全です。しかしながら本症では慢性的に発達した側副血行路により下肢や骨盤腔内臓器の血流が維持されており、派手な画像所見に比べると症状は軽微であったり無症候性であることも珍しくありません。そのため本症の診断には身体所見が診断の大きな手掛かりになりえます。間欠性跛行を示す疾患はほかにASOや腰部脊柱管狭窄症などが挙がりますが、Leriche症候群を忘れないようにしましょう。両下肢の動脈触知を丁寧に行い、脈拍だけではなく「左右差」を評価することも必要です。
前述のように本症の原因は動脈硬化に起因するものが多数を占め、冠動脈疾患や腎機能障害を併う場合があることから併存疾患の検索が重要です。特に虚血性心疾患の合併が目立つことから、心機能や冠動脈の評価を行いましょう。
足趾の血流障害が強い、あるいは間欠性跛行の増悪が著しい症例に対しては外科的にバイパス術を行います。また内服療法としてはシロスタゾールやアスピリンなどの抗血小板薬が推奨されています。
100本まで残り34本です
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