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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2019.10.18,Fri
Clinical PictureがAcceptされました(56本目)
今回は急激な浸透圧変化によって生じる脱髄疾患についてのClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Mexican hat sign」です。掲載誌はまたまたまた卒後医学教育に先進的な変化をもたらした英国の非営利団体Fellowship of Postgraduate Medicine (FPM)が発行している100年の歴史と伝統を誇る教育誌「Postgraduate Medical Journal (IF 1.946)」です。

浸透圧脱髄症候群(橋中心性髄鞘崩壊)とは慢性的な低栄養状態やアルコール中毒、尿崩症や悪性腫瘍などに伴った長期的な低Na血症の急激な補正により脱髄を生じる疾患です。橋底部に病変を生じるのが典型例であり以前は橋中心性髄鞘崩壊(CPM:Central Pontine Myelinolisys )と呼ばれていましたが、橋以外に病変が生じる場合もあり、現在では浸透圧脱髄症候群(ODS:Osmotic Demyelination Syndrome)と呼ばれるようになっています。

上述した通り本症は低Na血症の補正速度が速すぎることが発症原因であり、Naの補正速度を10mEq/L/day以内に抑える必要があるとされていますが、8mEq/L/dayでも発症したという報告もあるようです。また慢性的な低Na血症だけでなく、高Na血症の補正でも本症を発症したという症例報告も散見されます

ODSの症状としては意識障害、嚥下障害、構音障害、傾眠、無動、無言、弛緩性四肢麻痺などが進行性に生じ、重度のものでは閉じ込め症候群に陥る場合もあるようです。

本症ではMRIにてDWIやT2強調像で橋底部中心に、まるでメキシコ人の被る帽子のような特徴的な高信号域(Mexican hat sign)を呈します。病歴や症状と併せて本症が疑わしい場合にはMRIが確定診断に有用です。ただし発症直後ではMRIの画像所見は偽陰性になるので注意が必要となります(3-4週間程度)。

治療に関してはControversyな点、施設間での違いも大きいため言及しませんが、本症についてはやはり予防が重要な疾患になります。低Na血症を診た際には「もしかして慢性的な低Na血症ではないか」と頭の片隅に置きながら、病歴を注意深くとり補正を開始することが大切でしょう。

100本まで残り44本です
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