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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.28,Mon
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Posted by Hiroki Matsuura - 2017.10.11,Wed
Clinical PictureがAcceptされました(24本目)
今回は食道疾患に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルはEosinophilic Esophagitis; Crepe Paper-Like Appearanceです。

Eosinophilic Esophagitis」は和訳するとそのまま「好酸球性食道炎」ですが、疾患概念として確立してから未だ日は浅く、以前は小児患者が多いと言われていましたが成人での報告例が近年急増している注目の食道疾患です。症状は胸焼けや嘔吐などGERDと共通する部分が多く、見逃されている例が多いと考えられています。進行すると食道の線維化に伴い、嚥下障害や栄養障害を発症し観血的な処置が必要となる可能性があるため、早期発見と早期治療が重要です。近年指定難病になりました(難病情報センターのリンク)。

詳細は割愛しますが持続的な食物アレルゲンの暴露が発症の原因と考えられており、治療としてはPPIやプロスタグランジンD2阻害薬、ステロイドの投与などが実施されます。また Six-Food-Elimination-Diet (SFED)と呼ばれる牛乳、卵、魚介類、大豆、小麦、ナッツ類を除いた食事が治療として有効という報告があります(NEJMの記事はこちら)。

さて今回の「Crepe Paper-Like Appearance」ですが食道粘膜の浮腫、白斑に加えて長軸方向の縦走溝を伴う本症に特徴的な内視鏡所見です。

内視鏡検査を実施する際には「胸焼け≠GERD」であり、本症も鑑別の一つとして忘れないようにしましょう。

掲載雑誌は"Green Journal"という別称を持つ内科系雑誌「American Journal of Medicine(IF 5.55)」です。AJMには前回のDESに引き続き食道疾患が2本連続でAcceptされています。

100本まで残り76です。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2017.10.09,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(23本目)
今回は結核に関するClinical PictureがAcceptされました。
タイトルは「Tuberculous pneumonia」です。

「Tuberculous pneumonia」の和訳はそのまま「結核性肺炎」ですが、古くは「乾酪性肺炎」と呼ばれ一般的な肺結核とは異なり突然の高熱、咳嗽を伴い急激な経過を伴います。画像検査では以下に示す通り大葉性肺炎像を呈するため、一見すると重症の細菌性肺炎に見えます。そのためしばしば診断の遅れにつながり公衆衛生上大きな問題になりかねません。

病態としては経気道的に大量の結核菌が散布され、これに対して免疫応答が苛烈に起こることで大葉性肺炎像を呈します。

本症例では結核性肺炎を鑑別疾患として挙げていたため、隔離と迅速な治療開始が達成できました。初期研修医1年目の想い出深い一例です。


元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)

抗菌薬に反応しない肺炎を見たときは、悪性腫瘍、耐性菌、真菌、膠原病、好酸球性肺炎を含むアレルギー疾患以外にも「結核性肺炎」を鑑別として忘れないようにしましょう。

掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。

追記(2017年10月29日):本記事に関して初めて公式にLetterが届きました。返答はQJMで掲載予定です。リンクはこちら

100本まで残り77です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.10.01,Sun
Clinical PictureがAcceptされました(22本目)
今回は栄養及び神経領域のClinical PictureがAcceptされました。
タイトルはInverted V sign; subacute combined degeneration of the spinal cord」です。

「S
ubacute combined degeneration of the spinal cord」は日本語で「亜急性連合性脊髄変性症」と言います。国家試験にも頻出なこの疾患はビタミンB12の欠乏によって発症します。通常対称性に下肢の感覚障害や振動覚の低下、バビンスキー反射陽性が認められますが、不定愁訴の域を抜けきらない診断の難しい疾患です。ビタミンB12の欠乏に伴う疾患は他に「巨赤芽球性貧血」があり、MCV高値を伴う患者を診た際には栄養状態や食事の確認、ビタミンB12の評価が重要です。これに何らかの脱力やしびれなどの症状がある場合には、本症を鑑別疾患の一つとして忘れないようにしましょう。

本症例ではMRIで特徴的な逆Vサインが認められました。ただし本症例のような画像所見を伴う亜急性連合性脊髄変性症はそれほど多いわけではありません(全症例の約20%)。しかしながら後索に特異的に高輝度を示す疾患は他にほとんどないので是非とも覚えていただきたいClinical Pictureの1つです。


元記事のリンクはこちら(追記:2018年4月20日)

掲載雑誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 3.1)」です。

100本まで残り78です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.09.21,Thu
Clinical Pictureが掲載されました(7)
先日投稿した「Diffuse Esophageal Spasm: Corkscrew Esophagus」がAmerican Journal of MedicineのAdvance articleで掲載されました。

以下Journal記事のリンクです。
有料版であり購読していないと読めませんが、契約されている医療機関の方はぜひ参照ください。

American Journal of Medicine
Clinical communication to the editor
Diffuse Esophageal Spasm: Corkscrew Esophagus
Posted by Hiroki Matsuura - 2017.09.18,Mon
3. はじめての上部消化管内視鏡ポケットマニュアル
私が投稿したClinical Pictureには上部消化管内視鏡によって撮影されたものが少なくありません。
上部消化管内視鏡検査の基礎が学べる一冊として「はじめての上部消化管内視鏡ポケットマニュアル」を紹介します。

初期研修医から勤務している三豊総合病院は香川県の中でも屈指の内視鏡検査件数を誇ります。私は消化器内科ではありませんが4年目の半ばにして上部消化管内視鏡検査をおよそ1500件経験しています。日々検査を実施しながら「意外にきれいに撮影できていない」ことがあり、悔しい思いをしたことも多いです。何より患者の不利益になってはいけません。

本書は内視鏡の構造から撮影方法、そして典型的な病変の画像がポケットサイズに詰め込まれた良書です。これから内視鏡医を志す初期研修医にも後期研修医にも凄くオススメな一冊です。

著者である今川内科医院 今川 敦 先生には初期研修医の頃から厳しくご指導いただきました。
Achalasia のPinstripe Patternに関するClinical Pictureを投稿されているので同時に紹介します。

  Atsushi Imagawa, Keiko Takeuchi, Kozue Suto. "Pinstripe Pattern” in an Achalasia Patient. Clin Med Insights Gastroenterol. 2016; 9: 1-2.


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