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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2021.08.01,Sun
Clinical Picture(Case report)が掲載されました(46)
先日アクセプトされました「Japanese spotted fever and rickettsial pneumonia」がQuarterly Journal of Medicineの2021年4月号に掲載されています(もう8月なんですけどね)。

「Japanese spotted fever(日本紅斑熱)」は1984年に発見された紅斑熱群リケッチア感染症です。近年感染者数が急激に増加しており公衆衛生上大きな脅威となるダニ媒介疾患として知られています(令和2年は過去最多の報告数でした)。一般的に紅斑熱群リケッチア感染症は紅斑、痂皮、肝障害を3徴としますが、血管内皮に感染し増殖するという特性から、全身のあらゆる臓器で臓器障害を引き起こします。症状の多くは非特異的であり、発熱や全身倦怠感、筋肉痛などのインフルエンザ様症状を呈するため、紅斑などを見落としたり(症例によっては紅斑が目立たない場合もあります)、流行地域で鑑別疾患から本症を落としてしまった場合には想起が難しく、重症化し致命的な経過をたどる危険性があります。

前述のように紅斑熱群リケッチア感染症は血管内皮に感染する特性から、全身のあらゆる臓器に感染を起こし臓器障害を来たしますが、肺も例外ではありません。日本紅斑熱の類縁疾患であるロッキー山紅斑熱Rickettsia rickettsi)、地中海紅斑熱Rickettsia conorii)、ツツガムシ病Orientia tsutsugamushi)などでは呼吸器症状が出現することは決して稀ではなく、CTや胸部レントゲン写真が様々な英文誌に登場しており「リケッチア肺炎」として報告されています。

紅斑熱群リケッチア感染症は「知らないと想起できない」「早期発見が患者の生命予後を左右する」「患者毎に症状の多様性が大きい」、など様々な点で臨床医泣かせの疾患です。特に本症例のような一見「普通の肺炎」に見えてしまう症例は非常に稀ではありますが、落とし穴になる可能性が高いため、通常の抗菌薬治療に反応が乏しい症例や原因不明の血小板減少を伴う症例では紅斑熱群リケッチア感染症を鑑別疾患として考える必要があるでしょう。

以下Journal記事のリンクです。
Quarterly Journal of Medicine
Japanese spotted fever and rickettsial pneumonia


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