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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2019.07.03,Wed
Clinical Pictureが掲載されました(34)
先日アクセプトされました「Acute Gastric Dilation caused by Superior Mesenteric Artery syndrome」がPostgraduate Medical Journalの2019年5月号に掲載されています。

今回はAcute Gastric Dilation(急性胃拡張)がSMA症候群によって生じたというCaseを取り上げています。そもそもSMA症候群は十二指腸水平脚Superior Mesenteric Artery(上腸間膜動脈)大動脈、あるいは脊椎に圧排されることで狭窄や閉塞をきたす疾患で若い痩せ型の女性に多いことが知られています。画像所見としてはSMAと大動脈の分岐角が正常よりも鋭角になっています。

急性胃拡張はその名の通り、過食や排出不良に伴う胃内容物の貯留で胃が拡張するという病態です。神経変性疾患や脳梗塞、糖尿病、術後再建、摂食障害、薬剤によって生じることが知られていますが本症例のようにSMA症候群でも起こりえます。SMA症候群では胃の内容物が大量に存在することで排出遅延が起こることから胃拡張を起こしやすいと考えられています。「ただの胃の拡張じゃないか」と思われる方も多いのですが、意外にも重症例が多数報告されています。

胃は支配血管が豊富であることから阻血になりにくいとされていますが、胃の急激な拡張で内部から血管が圧排され胃表面の血流が乏しくなり、最終的に組織壊死に至ると胃破裂をおこします。胃破裂を起こした場合の予後は不良であり死亡例が多数報告されていますから、本症の患者を診た際には胃管挿入による迅速な減圧が必要です。

本症例でも来院後すぐに胃管を挿入のうえ、胃表面の血流を腹部超音波検査で確認し注意深い経過観察を必要としました。さまざまな論文を確認すると急性胃拡張を起こした症例の多くで精神科疾患を有する場合が多いとされています。たとえ急性胃拡張が軽症で済んだとしても背景疾患として摂食障害がある可能性は否定できません。注意深い問診で患者の生活歴を知り、精神科や心療内科と相談しながら対応する必要があるかもしれません。

以下Journal記事のリンクです。
Postgraduate Medical Journal
Images in Medicine
Acute Gastric Dilation caused by Superior Mesenteric Artery syndrome
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