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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2019.07.22,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(52本目)
今回は救急疾患に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Acute Calcific Retropharyngeal Tendinitis」です。掲載誌はまたまた卒後医学教育に先進的な変化をもたらした英国の非営利団体Fellowship of Postgraduate Medicine (FPM)が発行している100年の歴史と伝統を誇る教育誌「Postgraduate Medical Journal (IF 1.946)」になります。

今回の症例は44歳の男性が突然の頸部痛のためERを受診され「石灰沈着頚長筋腱炎」と診断されたCaseです。石灰沈着頚長筋腱炎の頻度は比較的稀ですが、頸部痛の鑑別としてしばしば忘れがちな疾患になります。本症は椎前筋を形成する頚長筋にハイドロキシアパタイトが沈着して発症します。治療はNSAIDsやステロイド、安静など保存的加療で自然軽快することが知られており、予後は極めて良好です。

頸部痛に発熱を伴う疾患は様々なものがありますが、その中でもFive Killer Sore Throatと呼ばれる疾患は緊急性が高く、生命の危険がある緊急疾患として必ず除外する必要があります。
Five Killer Sore Throat急性喉頭蓋炎、扁桃周囲膿瘍、口腔底蜂窩織炎(Ludwig's angina)、Lemierre症候群、そして咽後膿瘍の5つになります。これらには開口障害流涎三脚位などの身体所見を併せて早期の診断をおこない、ときに気管挿管や気管切開などで迅速な気道確保を必要とします。

このうち咽後膿瘍では頸部のレントゲン撮影で軟部組織腫脹が認められるのですが、今回の石灰沈着頚長筋腱炎とは臨床的に非常に似た所見を示すため注意が必要です。かたや生命にかかわる緊急疾患であるというのは対応に難渋する可能性もあり、ERに来院された際には頭を悩ましそうです。

今回の症例も多分に漏れず、頸部レントゲンでは軟部組織腫脹が認められ私たちの頭を悩ましたのですが、CT撮影にて巨大な石灰沈着頚長筋腱炎を同定し、さらに3D構成まで実施、咽頭後壁の組織腫脹の推移も含めて経過をおいました。なお本邦からですがH2ブロッカーが石灰化に有効であるとの報告があったためH2ブロッカーを導入したところ、3か月後にには綺麗さっぱり病変が消失しました。現在も再発はありません。

100本まで残り48本です。
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