英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2022.06.12,Sun
Clinical PictureがAcceptされました(71本目)
ブログ更新をサボっている訳では決してありません。そして勿論引退していません。最近本当に通らないんです。ちなみに前回のAcceptから9か月経過してしまいました。さて今回は重症薬疹に関連したClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Periorbital swelling with crusted lesions: Drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms」です。掲載誌は米国で2番目に古い歴史を誇る内科系雑誌「American Journal of the Medical Sciences(IF 1.911)」になります。
「Drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms(DRESS)」は重症薬疹の一類型として重要な疾患概念です。奔放では「Drug induced hypersensitivity syndrome(DIHS)」と取り扱われる場合が多く、診断基準が異なります(RegiSCARスコアというDIHSの診断基準が本邦にて汎用されているため)。
本症は原因薬剤の曝露後、およそ2-6週間で顕在化し、広範な臓器障害を伴います。原因薬剤として代表的なものはカルバマゼピン、フェニトインなどの抗てんかん薬が知られています。またバンコマイシン、ミノサイクリン、ST合剤といった抗菌薬でも報告があるようです。本症の発症にはHHV-6の再活性化が関連しており、過去の報告によるとDRESSに関しては40-70%程度でHHV-6の再活性化が確認されています。また致死率は10%と油断のならない重篤な疾患なのです。さらにDRESSを発症した患者は、数年後に1型糖尿病や甲状腺機能低下症、SLEを発症することがあるため、これらの自己免疫性疾患についても経過中に注意が必要になります。
さて今回の眼瞼周囲の浮腫はDRESS/DIHSの早期診断に非常に効果的です。本症では発熱やリンパ節腫脹などの全身症状にくわえ、顔面や全身の皮膚に多形滲出性紅斑が多発しますが、眼瞼周囲に関しては浮腫により紅斑が消失します。そのため眼瞼周囲のみが「浮いているような」皮疹の分布になります。このような皮疹の分布があった際には本症を念頭に臓器障害の評価を行い、内服薬の確認・一刻も早い中止を検討しましょう。
100本まで残り29本です。
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