英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.12.20,Thu
Clinical PictureがAcceptされ掲載されました(47本目)
かねてから当ブログ最大の目標であったNew England Journal of Medicine「Images in Clinical Medicine」のコーナーに私の執筆した論文が本日2018年12月20日付で掲載されました。タイトルは「Coronary-Artery Occlusion from Kawasaki’s Disease」です。掲載誌NEJMは継続して発刊されている医学誌の中で世界で最も長い歴史と権威を持ち、最も大きな影響力を与えるJournalです。Impact Factorはなんと79.258!名実ともに世界最高の医学誌であることは間違いありません。
今回の症例は川崎病罹患後の巨大冠動脈瘤形成をきたし経過観察中であった18歳男性が冠動脈閉塞を起こしACSを発症したというものです。
川崎病は1967年に本邦において川崎富作先生によって発見された疾患です。発見から半世紀が経過した現在においても未だ原因は不明ですが、何らかの免疫応答が関与していることは間違いなく、また中国東北部から飛来するジェット気流と相関があると報告されています。主要症状としては5日以上継続する原因不明の発熱、眼球結膜充血、口腔周囲の粘膜疹や苺舌、有痛性のリンパ節腫脹、皮膚の非定型発疹が知られています。他にも周辺症状としてBCG接種部位の発赤や痂皮形成は本症に特異的な所見です。詳細は成書に譲ります。
本症の最大の問題はClinical Pictureでも取り上げた冠動脈瘤の形成であり、これを如何に予防するかが川崎病診療における最重要の課題といって差し支えないでしょう。初期治療としては免疫グロブリン、プレドニゾロン、アスピリンの併用療法(レジメンは施設毎に異なるようです)が実施され、治療開始以後48時間以内に解熱しない不応例や再発例に対しては免疫グロブリンにくわえ、シクロスポリンやインフリキシマブの併用が実施されるようです。
発症後10日前後で冠動脈病変が好発するとされており、心臓超音波検査が実施されますが、その後も定期的なフォローが必要となります。
冠動脈瘤形成が生じても数年程度で自然軽快する場合もありますが、本症例のように冠動脈瘤が残存し、若年発症の心筋梗塞を起こす可能性が十分にあることを理解しなければなりません。
救急外来で既往歴を聴取せず「18歳…こんな若い人が心筋梗塞な訳がない」という思い込みが先行するようなことがあれば、恐ろしい結末が待っているでしょう。
今回の症例では共著者であります倉敷中央病院 循環器内科の大家 理伸 先生に多大なご指導を賜りまして、本日という素晴らしい日を迎えることが出来ました。Revisionでは数多くの難題がありましたが大家先生のご指導と関係者の皆様の協力で何とか乗り越えることが出来ました。そして私の拙い英語を校正いただきましたPaul先生、小林先生には本当に感謝しても感謝しきれません。
日々多くのご支援と多くの患者さんのおかげで医師として成長させていただいていることを実感しております。当ブログの目標の一つが達成されましたが、これで気を抜かず次なる目標(100本掲載とMatsuura signの発見)とNEJMへの2本目の掲載を目指して再び走り出したいと思います。ありがとうございました。
以下Journal 記事のリンクです。
New England Journal of Medicine
Images in Clinical Medicine
「Coronary-Artery Occlusion from Kawasaki’s Disease」
ぜひともご参照ください。
100本まで残り53本です。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2018.12.14,Fri
コラムが掲載されました(1)
報告が遅くなりましたが、医学書院の発行する「総合診療(2018年5月号)」にコラムを書かせていただきました。
私がClinical Picture投稿を始めたきっかけやClinical Picture投稿の意義についてを簡潔にまとめています。なお本号はClinical Pictureの特集号です。読者を唸らせる数々の疾患が多数紹介されていて非常に勉強になります。クイズ形式となっていますので自身のClinical Picture力がどれくらいあるのか、挑戦してはいかがでしょうか。

報告が遅くなりましたが、医学書院の発行する「総合診療(2018年5月号)」にコラムを書かせていただきました。
私がClinical Picture投稿を始めたきっかけやClinical Picture投稿の意義についてを簡潔にまとめています。なお本号はClinical Pictureの特集号です。読者を唸らせる数々の疾患が多数紹介されていて非常に勉強になります。クイズ形式となっていますので自身のClinical Picture力がどれくらいあるのか、挑戦してはいかがでしょうか。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2018.12.03,Mon
※残念ながら2021年9月でClinical Pictureの受付は終了されたようです(追記:2021年9月17日)
英文誌の特徴(Postgraduate Medical Journal 編)
Postgraduate Medical Journal (PMJ) のClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。
1.歴史
英国の卒後教育であるFellowship of Postgraduate Medicine(初代総長:Sir William Osler)の学会誌として1925年に創刊された雑誌です。現在もFPMの学会誌という立場は変わりませんがBMJ groupとして発行が継続されています。
2.内容
PMJは年12回(月刊)発行される雑誌であり臨床研究から症例報告に至るまで様々な記事を掲載しています。Author Informationにも記述がありますが、設立された経緯からも医学教育や医学教育研究に力を入れているJournalです。ちなみに2018年のIFは2.078です。
3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると
英文誌の特徴(Postgraduate Medical Journal 編)
Postgraduate Medical Journal (PMJ) のClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。
1.歴史
英国の卒後教育であるFellowship of Postgraduate Medicine(初代総長:Sir William Osler)の学会誌として1925年に創刊された雑誌です。現在もFPMの学会誌という立場は変わりませんがBMJ groupとして発行が継続されています。
2.内容
PMJは年12回(月刊)発行される雑誌であり臨床研究から症例報告に至るまで様々な記事を掲載しています。Author Informationにも記述がありますが、設立された経緯からも医学教育や医学教育研究に力を入れているJournalです。ちなみに2018年のIFは2.078です。
3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると
1. 字数は「250 words」
2. 画像は「2枚」以内
3. Referenceは「5本以下」
4. Authorは「2名以下」
5. Pictureのセクションはあまり刺激の強い写真を求めていません
5. Accept後
Accept後にさらに14日程度でProofの確認がありました。同時にOpen Acsessについての希望を確認されました(PMJは全ての記事がOAであるため、記事公開には1950GBP・現行レートでおよそ28万円必要)。私もClinical Pictureのみの公開に28万円を支払う金銭的な余裕はないので、支払っていません。その代わり著者用の無料PDFが後日雑誌側からeメールでLinkとともに送られてきました。
6.その他
OAの費用以外は事務的な対応なども「一般的」で特に特筆するような注意点はありません。
個人的にはClinical PictureのOA費用くらい安くしてくれたらいいのに…と感じるくらいです。やはりClinical Pictureは学生さんを含め、多くの方に読んでいただきたいという気持ちが強く、OA費というネックから今後投稿を躊躇すると思われます(とは記載していますが意外に相性が良く、懲りずに出し続けています。追記:2019年10月11日)。掲載記事はいずれもQualityが高く、非常に勉強になるものばかりで素晴らしいJournalだと感じています。ただOA費が…。
またメールでは丁寧な対応をしてくれます。投稿後時間が経過している場合には「Mansucript status update on postgradmedj-(投稿番号)-awaiting editorial decision」と題したメールが送られてきます。内容は大体「もうすぐDecision Letter」が行きますというもので大体10日以内には最終結果が返ってくる印象です(追記:2019年10月11日)。
5. Pictureのセクションはあまり刺激の強い写真を求めていません
4.査読
AcceptされたClinical Pictureでは14日で第1報が返ってきました。日本海裂頭条虫の記事であったので、修正点に関しては疫学に関する内容と感染の予防(魚の調理の仕方)について加筆を求められましたが、そこまで厳しい修正意見が飛んできた訳ではありませんでした。
5. Accept後
Accept後にさらに14日程度でProofの確認がありました。同時にOpen Acsessについての希望を確認されました(PMJは全ての記事がOAであるため、記事公開には1950GBP・現行レートでおよそ28万円必要)。私もClinical Pictureのみの公開に28万円を支払う金銭的な余裕はないので、支払っていません。その代わり著者用の無料PDFが後日雑誌側からeメールでLinkとともに送られてきました。
6.その他
OAの費用以外は事務的な対応なども「一般的」で特に特筆するような注意点はありません。
個人的にはClinical PictureのOA費用くらい安くしてくれたらいいのに…と感じるくらいです。やはりClinical Pictureは学生さんを含め、多くの方に読んでいただきたいという気持ちが強く、OA費というネックから今後投稿を躊躇すると思われます(とは記載していますが意外に相性が良く、懲りずに出し続けています。追記:2019年10月11日)。掲載記事はいずれもQualityが高く、非常に勉強になるものばかりで素晴らしいJournalだと感じています。ただOA費が…。
またメールでは丁寧な対応をしてくれます。投稿後時間が経過している場合には「Mansucript status update on postgradmedj-(投稿番号)-awaiting editorial decision」と題したメールが送られてきます。内容は大体「もうすぐDecision Letter」が行きますというもので大体10日以内には最終結果が返ってくる印象です(追記:2019年10月11日)。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.11.28,Wed
英文誌の特徴(European Heart Journal 編)
European Heart Journal (EHJ) のClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。
1.歴史
EHJは1980年にEuropean Society of Cardiologyの学会誌として創刊されました。学会誌として多数の臨床研究を掲載しているだけでなく、循環器領域全ての疾患に対して欧州におけるガイドラインを策定しており、世界中の循環器内科の診療方針に多大な影響を与える雑誌です。
2.内容
EHJは年48回(週刊)発行される雑誌であり、大規模な臨床研究を多数掲載するメガジャーナルです。123ある循環器内科学の英文誌の中で最も高いIFを誇ります。その値なんと23.425!
こんな雑誌にもClinical Pictureのコーナーがあるのですが、その名も「Cardiovascular Flashlight」
なんかかっこいい…。
3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると
5. Accept後
Accept後、1週間程度でProofが届き修正を実施します。本掲載も3週間後と何から何まであれよあれよという間に進み、他の雑誌では経験したことのないスピードに正直面喰いました。
6.その他
あくまでも私見ですが「Cardiovascular Flashlightは裏表紙に使用される」という記載がAuthor Informationにありますので年間48本掲載となると需給は逼迫しているのではないかと推察されます。今回掲載に至った「ダビガトラン食道炎の内視鏡写真」は循環器内科雑誌に上部消化管内視鏡写真が掲載されるという非常に異質なものでしたが、循環器内科医が知るべきDOACに関する内容でした。以上を踏まえると「循環器内科が見落としがちな、他の専門科に跨る循環器疾患」というのが、非専門医がCardiovascular Flashlightの掲載を狙うために必要な点ではないかと考えます。今後私も2本目の掲載を狙っていきます。
European Heart Journal (EHJ) のClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見だということです。
1.歴史
EHJは1980年にEuropean Society of Cardiologyの学会誌として創刊されました。学会誌として多数の臨床研究を掲載しているだけでなく、循環器領域全ての疾患に対して欧州におけるガイドラインを策定しており、世界中の循環器内科の診療方針に多大な影響を与える雑誌です。
2.内容
EHJは年48回(週刊)発行される雑誌であり、大規模な臨床研究を多数掲載するメガジャーナルです。123ある循環器内科学の英文誌の中で最も高いIFを誇ります。その値なんと23.425!
こんな雑誌にもClinical Pictureのコーナーがあるのですが、その名も「Cardiovascular Flashlight」
なんかかっこいい…。
3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると
1. 字数は「250 words以下」
2. 画像は「1枚」以内、循環器領域に関わるものなら何でもOK
3. Referenceは必要ありません
4. Authorは「4名以下」
5. Cardiovascular Flashlightは雑誌の裏表紙に使用されます
4.査読
5. Cardiovascular Flashlightは雑誌の裏表紙に使用されます
4.査読
循環器内科の先生方は検査も治療もスピーディーな方が非常に多いですが、雑誌でも同様の傾向が認められるのか、私が掲載された記事に関しては査読も返信も掲載も異常に早かったです。
5. Accept後
Accept後、1週間程度でProofが届き修正を実施します。本掲載も3週間後と何から何まであれよあれよという間に進み、他の雑誌では経験したことのないスピードに正直面喰いました。
6.その他
あくまでも私見ですが「Cardiovascular Flashlightは裏表紙に使用される」という記載がAuthor Informationにありますので年間48本掲載となると需給は逼迫しているのではないかと推察されます。今回掲載に至った「ダビガトラン食道炎の内視鏡写真」は循環器内科雑誌に上部消化管内視鏡写真が掲載されるという非常に異質なものでしたが、循環器内科医が知るべきDOACに関する内容でした。以上を踏まえると「循環器内科が見落としがちな、他の専門科に跨る循環器疾患」というのが、非専門医がCardiovascular Flashlightの掲載を狙うために必要な点ではないかと考えます。今後私も2本目の掲載を狙っていきます。
Posted by Hiroki Matsuura - 2018.11.16,Fri
5. ジェネラリストを目指す人のための画像診断パワフルガイド
非常に典型的な症例から、専門家も唸るようなRare Diseaseに至るまで、様々な症例のCTやMRI画像が詰め込まれた非常にオススメな一冊です。本書の良いところは症例の豊富さという点もですが、類似疾患や鑑別疾患についてもコラムなどで簡潔にまとめられていることが挙げられます。
実際にRare Diseaseに遭遇した際にも、本書に記載のあるPearlが診断の大きな手掛かりになったことが複数回ありました。珍しい症例に当たった際には本書で所見をあらためて確認し、鑑別疾患を学び、そして成書で学習する、という3STEPを経れば幅広い疾患に対して確固たる知識を得る近道になるでしょう。
本書のようなRare Diseaseが複数掲載されている本では、ついついそちらばかりが気になって基本的なCommon Diseaseを読み飛ばしてしまう場合が往々にしてあります。Rare Diseaseばかりにのめりこむと鑑別疾患が挙がらず不毛な「シマウマ探し」になり、診断の遅れや患者の不利益に繋がりかねません。Common Diseaseにも数多く触れている本書を上手に使いこなすことが出来れば、非常に有用であると考えられます。
読影の苦手な医師やこれから画像検査を学ぶ初期研修医にとってもオススメの一冊です。

非常に典型的な症例から、専門家も唸るようなRare Diseaseに至るまで、様々な症例のCTやMRI画像が詰め込まれた非常にオススメな一冊です。本書の良いところは症例の豊富さという点もですが、類似疾患や鑑別疾患についてもコラムなどで簡潔にまとめられていることが挙げられます。
実際にRare Diseaseに遭遇した際にも、本書に記載のあるPearlが診断の大きな手掛かりになったことが複数回ありました。珍しい症例に当たった際には本書で所見をあらためて確認し、鑑別疾患を学び、そして成書で学習する、という3STEPを経れば幅広い疾患に対して確固たる知識を得る近道になるでしょう。
本書のようなRare Diseaseが複数掲載されている本では、ついついそちらばかりが気になって基本的なCommon Diseaseを読み飛ばしてしまう場合が往々にしてあります。Rare Diseaseばかりにのめりこむと鑑別疾患が挙がらず不毛な「シマウマ探し」になり、診断の遅れや患者の不利益に繋がりかねません。Common Diseaseにも数多く触れている本書を上手に使いこなすことが出来れば、非常に有用であると考えられます。
読影の苦手な医師やこれから画像検査を学ぶ初期研修医にとってもオススメの一冊です。
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【送料無料】 ジェネラリストを目指す人のための画像診断パワフルガイド / 山下康行 【本】 価格:10,260円 |

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