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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by - 2025.04.26,Sat
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Posted by Hiroki Matsuura - 2020.09.26,Sat
Clinical PictureがAcceptされました(61本目)
今回は非常に珍しい遺伝性の血液疾患に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Hemolytic crisis of Hereditary Spherocytosis」です。掲載誌は卒後医学教育に先進的な変化をもたらした英国の非営利団体Fellowship of Postgraduate Medicine (FPM)が発行している100年の歴史と伝統を誇る教育誌「Postgraduate Medical Journal (IF 1.911)」です。

本症例では感冒症状があらわれた後に眼瞼結膜の貧血眼球結膜の黄染が出現し救急外来を受診された成人男性のケースです。精査の結果、遺伝性球状赤血球症が判明し、伝染性紅斑に伴う溶血性貧血と診断されました。画像検査でも年齢に不相応な立派な?胆嚢結石、そして脾機能亢進に伴う脾腫が確認できました。

遺伝性球状赤血球症(Hereditary spherocytosis)は本邦において最も頻度の高い遺伝性溶血性貧血であり、多くの症例で常染色体優性遺伝形式を呈します。これは赤血球の膜表面に存在する膜蛋白に異常が生じるもので、赤血球の変形能の低下により溶血が起こりやすくなるのが原因となります。

そして感染などをきっかけに溶血発作が進む場合があり、特にパルボウイルスB19感染による伝染性紅斑では無形成発作を引き起こし、本症例のように重篤化することも珍しくありません。

一般的に遺伝性球状赤血球症は血に伴う黄疸、胆嚢結石、慢性貧血などを伴うことが多く、精査中に偶然発見されることもあるようです。

貧血が重篤な場合には脾摘術が考慮されますが、脾摘後は莢膜を有する細菌感染症への抵抗力が著しく低下することから、肺炎球菌ワクチンなどの接種を忘れないようにしましょう。

100本まで残り39本です。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2020.09.23,Wed
Clinical Pictureが掲載されました(42)
先日アクセプトされました「Chronic Abdominal Pain With Pus Discharge from the Umbilicus」がGastroenterology誌の2020年度9月号第3集に掲載されています。

今回の症例は間歇的な腹痛と臍部からの排膿を主訴に当院へ来院された尿膜管遺残(Urachal remnant)です。そもそも尿膜管とは胎児期に臍と膀胱とを結んでおり、胎児の尿を母体に流すための通り道となっています。通常出生とともに尿膜管は閉鎖し、成長に伴って消退していくのですが、本症ではその名の通り尿膜管が残存し細菌感染を起こすことで、本症例のような腹痛や臍部の発赤、排膿を生じます。

遺残した尿膜管は上記のように感染を繰り返すことにくわえ、非常に稀ながら悪性腫瘍の発生母地となりえます。そのため本症は外科的に尿膜管の切除が行われます。特に近年では腹腔鏡を用いた摘除術が広く実施されており、従来に比べてより低侵襲で治療が可能です。

本症の診断には造影CTやMRIなどが使用され、遺残物や膿瘍形成などを評価し治療を進めます。
臍部での繰り返す感染や膿汁排泄が認められる患者では尿膜管遺残を鑑別の1つに挙げましょう。

以下Journal記事のリンクです。
Gastroenterology
 Electronic Clinical Challenges and Images in GI
ぜひともご参照ください。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.09.16,Wed
英文誌の特徴(Clinical Gastroenterology and Hepatology編)
Clinical Gastroenterology and HepatologyのClinical Pictureにおける特徴をご紹介します。気を付けていただきたいのは、本記事で紹介する内容はあくまでも私見です。

1.歴史
CGHは米国消化器学会の学会誌です。

2.内容
CGHは年12回(1回/月)発行される英文誌であり、臨床研究から症例報告に至るまで消化器内科領域の多数の論文が掲載されています。2019年のIFは8.549であり、消化器領域の英文誌のなかでは10番目に高いIFを記録するなど、消化器内科領域の有力医学誌の一つです。

本誌のなかでClinical Pictureを扱うセクションは「Electronic Images of the Month」です。

3.Clinical Pictureの分量や注意点
Author informationによると

1. 字数は「200 words※英文誌に珍しく「厳守」です。205 wordsでも再提出でした。
2. 画像は「4枚」以内でCaptionやLegendは必要ありません
3. Referenceは必要ありません
4. Authorは「3名以下
5. 本セクション投稿時に「20$」の投稿料が必要

4.査読
投稿したClinical Pictureは14日程度で返信がありました。

5. Accept後
Accept後、2-5営業日程度でArticle in pressとして掲載されます。掲載稿についてなどは追記します。

6.その他
実はEditorial Officeからの返信メールが迷惑メールに入ってしまい、Minor Revisionの修正期限を大幅に超過しての提出になりました。修正投稿の前に謝罪メールを送り、対応について質問したところ「全然問題ありません」と丁寧に返信をいただきました。返信も非常に早く、安心できる対応でした。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.08.21,Fri
Clinical PictureがAcceptされました(60本目)
今回は珍しい胆道系疾患に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Porcelain Gallbladder」です。掲載誌は米国消化器病学会が発行するJournalでGastroenterologyの姉妹誌である「Clinical Gastroenterology and Hepatology (IF 8.549)」です(なお本症例より2020年度のIFに変更)。本誌は今回が初めてのacceptになります。

さて「Porcelain Gallbladder」は直訳すると「陶器様胆嚢」となります。陶器様胆嚢は比較的稀な病態で、慢性胆嚢炎の一種として知られています。全周性に石灰化を来たしており、音響陰影のため超音波検査では内腔が描出されません。

陶器様胆嚢は以前から「発癌と関係があるか否か」が議論されている疾患です。画像診断技術の発達していなかった1950年代には20%程度の症例が胆嚢癌と関連するされ、当時は確定診断がつき次第、積極的な外科的切除が勧められました。しかしその後の研究で、以前よりも癌化の確率が低いと考えられるようになっています。

なお全周性の陶器様胆嚢は内腔の粘膜が石灰化しているため発癌に至らないのではないかという仮説が一部の研究者の間で唱えられていますが真相は果たして…。

陶器様胆嚢は前述した通り比較的稀な疾患であり、他疾患の精査中に偶然画像検査で指摘される場合があります。基本的に経過観察でかまいませんが、ごく一部の症例では癌化する可能性が否定できないため、少しだけ注意しましょう。

100本まで残り40本です。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.08.20,Thu
撮っておきClinical Picture!(Cadetto.jp)更新のお知らせ(14)
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2020年8月20日付で新しい記事が掲載されました。

今回のタイトルは「『間欠的な痛み』以外の特徴がなかったあの疾患」です。
不定愁訴の中に混じる「ホンモノ」の疾患です。
医療者の間でも知名度の低い外科疾患について取り上げています。
 
ぜひともご参照ください。

以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
『間欠的な痛み』以外の特徴がなかったあの疾患
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