英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.05.16,Sat
撮っておきClinical Picture!(Cadetto.jp)更新のお知らせ(11)
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2020年5月15日付で新しい記事が掲載されました。
今回のタイトルは「COVID-19に紛れてやってくる?あの感染症」です。
ぜひともご参照ください。
以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
「COVID-19に紛れてやってくる?あの感染症」
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2020年5月15日付で新しい記事が掲載されました。
今回のタイトルは「COVID-19に紛れてやってくる?あの感染症」です。
ぜひともご参照ください。
以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
「COVID-19に紛れてやってくる?あの感染症」
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Posted by Hiroki Matsuura - 2020.04.22,Wed
Clinical Pictureが掲載されました(40)
新型コロナウイルス感染症の流行が本格化し、多くの医療機関で日々お忙しいことと思います。皆様、くれぐれも体調にお気を付けください。わたくしもClinical Pictureの投稿が非常に滞っており、もどかしい毎日です。さて先日アクセプトされました「Mexican hat sign」がPostgraduate Medical Journalの2020年5月号に掲載されています。
浸透圧脱髄症候群(橋中心性髄鞘崩壊)とは慢性的な低栄養状態やアルコール中毒、尿崩症や悪性腫瘍などに伴った長期的な低Na血症の急激な補正により脱髄を生じる疾患です。橋底部に病変を生じるのが典型例であり以前は橋中心性髄鞘崩壊(CPM:Central Pontine Myelinolisys )と呼ばれていましたが、橋以外に病変が生じる場合もあり、現在では浸透圧脱髄症候群(ODS:Osmotic Demyelination Syndrome)と呼ばれるようになっています。
上述した通り本症は低Na血症の補正速度が速すぎることが発症原因であり、Naの補正速度を10mEq/L/day以内に抑える必要があるとされていますが、8mEq/L/dayでも発症したという報告もあるようです。また慢性的な低Na血症だけでなく、高Na血症の補正でも本症を発症したという症例報告も散見されます。
ODSの症状としては意識障害、嚥下障害、構音障害、傾眠、無動、無言、弛緩性四肢麻痺などが進行性に生じ、重度のものでは閉じ込め症候群に陥る場合もあるようです。
本症ではMRIにてDWIやT2強調像で橋底部中心に、まるでメキシコ人の被る帽子のような特徴的な高信号域(Mexican hat sign)を呈します。病歴や症状と併せて本症が疑わしい場合にはMRIが確定診断に有用です。ただし発症直後ではMRIの画像所見は偽陰性になるので注意が必要となります(3-4週間程度)。また本症はやはり予防が重要な疾患になります。低Na血症を診た際には「もしかして慢性的な低Na血症ではないか」と頭の片隅に置きながら、病歴を注意深くとり補正を開始することが大切でしょう。
以下Journal記事のリンクです。
Postgraduate Medical Journal
Images in Medicine
「Mexican hat sign」
※有料会員のみ閲覧可能です
ぜひともご参照ください
新型コロナウイルス感染症の流行が本格化し、多くの医療機関で日々お忙しいことと思います。皆様、くれぐれも体調にお気を付けください。わたくしもClinical Pictureの投稿が非常に滞っており、もどかしい毎日です。さて先日アクセプトされました「Mexican hat sign」がPostgraduate Medical Journalの2020年5月号に掲載されています。
浸透圧脱髄症候群(橋中心性髄鞘崩壊)とは慢性的な低栄養状態やアルコール中毒、尿崩症や悪性腫瘍などに伴った長期的な低Na血症の急激な補正により脱髄を生じる疾患です。橋底部に病変を生じるのが典型例であり以前は橋中心性髄鞘崩壊(CPM:Central Pontine Myelinolisys )と呼ばれていましたが、橋以外に病変が生じる場合もあり、現在では浸透圧脱髄症候群(ODS:Osmotic Demyelination Syndrome)と呼ばれるようになっています。
上述した通り本症は低Na血症の補正速度が速すぎることが発症原因であり、Naの補正速度を10mEq/L/day以内に抑える必要があるとされていますが、8mEq/L/dayでも発症したという報告もあるようです。また慢性的な低Na血症だけでなく、高Na血症の補正でも本症を発症したという症例報告も散見されます。
ODSの症状としては意識障害、嚥下障害、構音障害、傾眠、無動、無言、弛緩性四肢麻痺などが進行性に生じ、重度のものでは閉じ込め症候群に陥る場合もあるようです。
本症ではMRIにてDWIやT2強調像で橋底部中心に、まるでメキシコ人の被る帽子のような特徴的な高信号域(Mexican hat sign)を呈します。病歴や症状と併せて本症が疑わしい場合にはMRIが確定診断に有用です。ただし発症直後ではMRIの画像所見は偽陰性になるので注意が必要となります(3-4週間程度)。また本症はやはり予防が重要な疾患になります。低Na血症を診た際には「もしかして慢性的な低Na血症ではないか」と頭の片隅に置きながら、病歴を注意深くとり補正を開始することが大切でしょう。
以下Journal記事のリンクです。
Postgraduate Medical Journal
Images in Medicine
「Mexican hat sign」
※有料会員のみ閲覧可能です
ぜひともご参照ください
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.03.25,Wed
Clinical Pictureが掲載されました(39)
先日アクセプトされました「Right Upper Quadrant Pain With Positive Murphy’s Sign in a 19-Year-Old Woman」がGastroenterologyの2020年度4月号第5集に掲載されています。
今回は突然発症の激しい右上腹部痛を呈した若年女性が問診などから性感染症が疑われ、造影CTで特徴的な画像所見を指摘、Fitz-Hugh-Curtis症候群(FHCs)と診断された症例になります。
そもそもFHCsとは骨盤内炎症性疾患(PID)が上行性に腹膜や肝被膜に波及し肝周囲炎をきたしたもので、原因菌の大多数をChlamydia trachomatisが、次いでNeisseria gonorrhoeaeが占めます。症状として急性発症の激しい右上腹部痛を来たすことから急性胆嚢炎など消化器疾患との鑑別が必要であり、症状の強さから婦人科外来でなくしばしばERに搬送される場合があります。
FHCsは慢性期に移行すると慢性的な上腹部痛などで症状が目立たなくなります。より発見は難しくなることは想像に難くないですが、特にChlamydia感染では不妊や異所性妊娠などを来たす可能性が高まるため、早期発見と治療が将来の妊孕性の維持という点で重要でしょう。
今回投稿した画像にも示されているのですが、画像所見として造影CTが非常に有用であり、早期相において特徴的な肝被膜の濃染像を呈します。
腹痛=消化器疾患と短絡的に考えたくなる症例もありますが、性的活動期にあたる若年女性で右上腹部痛を伴う症例では、性行動についての注意深い問診と性感染症の検索を忘れないようにしましょう。性感染症を診断した場合には他の病原体感染を合併している可能性を考慮し精査を進めてください。そしてパートナーの受診を促し、ピンポン感染を食い止めることも必要です。
以下Journal記事のリンクです。
Gastroenterology
Electronic Clinical Challenges and Images in GI
「Right Upper Quadrant Pain With Positive Murphy’s Sign in a 19-Year-Old Woman」
ぜひともご参照ください。
先日アクセプトされました「Right Upper Quadrant Pain With Positive Murphy’s Sign in a 19-Year-Old Woman」がGastroenterologyの2020年度4月号第5集に掲載されています。
今回は突然発症の激しい右上腹部痛を呈した若年女性が問診などから性感染症が疑われ、造影CTで特徴的な画像所見を指摘、Fitz-Hugh-Curtis症候群(FHCs)と診断された症例になります。
そもそもFHCsとは骨盤内炎症性疾患(PID)が上行性に腹膜や肝被膜に波及し肝周囲炎をきたしたもので、原因菌の大多数をChlamydia trachomatisが、次いでNeisseria gonorrhoeaeが占めます。症状として急性発症の激しい右上腹部痛を来たすことから急性胆嚢炎など消化器疾患との鑑別が必要であり、症状の強さから婦人科外来でなくしばしばERに搬送される場合があります。
FHCsは慢性期に移行すると慢性的な上腹部痛などで症状が目立たなくなります。より発見は難しくなることは想像に難くないですが、特にChlamydia感染では不妊や異所性妊娠などを来たす可能性が高まるため、早期発見と治療が将来の妊孕性の維持という点で重要でしょう。
今回投稿した画像にも示されているのですが、画像所見として造影CTが非常に有用であり、早期相において特徴的な肝被膜の濃染像を呈します。
腹痛=消化器疾患と短絡的に考えたくなる症例もありますが、性的活動期にあたる若年女性で右上腹部痛を伴う症例では、性行動についての注意深い問診と性感染症の検索を忘れないようにしましょう。性感染症を診断した場合には他の病原体感染を合併している可能性を考慮し精査を進めてください。そしてパートナーの受診を促し、ピンポン感染を食い止めることも必要です。
以下Journal記事のリンクです。
Gastroenterology
Electronic Clinical Challenges and Images in GI
「Right Upper Quadrant Pain With Positive Murphy’s Sign in a 19-Year-Old Woman」
ぜひともご参照ください。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.03.24,Tue
撮っておきClinical Picture!(Cadetto.jp)更新のお知らせ(10)
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2020年3月24日付で新しい記事が掲載されました。
今回のタイトルは「救急外来で出合うとびっくりする、あの先天疾患」です。
ぜひともご参照ください。
以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
「救急外来で出合うとびっくりする、あの先天疾患」
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2020年3月24日付で新しい記事が掲載されました。
今回のタイトルは「救急外来で出合うとびっくりする、あの先天疾患」です。
ぜひともご参照ください。
以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
「救急外来で出合うとびっくりする、あの先天疾患」
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.03.06,Fri
Clinical Pictureが掲載されました(38)
先日アクセプトされました「Intermittent severe epigastric pain and abdominal bruit varying with respiration」がGastroenterologyの2020年度3月号第4集に掲載されています。
今回の症例は、およそ3年間にわたって徐々に増悪し、間歇的に生じる耐え難い腹部疝痛のため岡山市立市民病院総合内科を受診された患者です。私の外来に来られるまで、県内外の少なくとも7つの総合病院を受診されましたが原因の特定には至っていませんでした。
腹痛の性状は内臓痛であるものの、明らかな腹膜刺激徴候はなく、体位による疼痛の変化も認められませんでした。しかしながら腹部聴診で呼吸性に変動する血管雑音が聴取されたためDoppler超音波検査を実施し、腹腔動脈の流速を計測しました。呼気と吸気で流速に大きな変動(呼気で流速UP)が認められたことから造影CTを撮影したところ、腹腔動脈起始部に狭窄が生じ、狭窄部以降の動脈径の拡大が認められたため正中弓状靭帯圧迫症候群(Celiac Artery Compression Syndrome:CACS)と診断しました。CACSと診断後、腹腔鏡下で正中弓状靭帯切離術を実施したところ、患者の腹痛および腹部の血管雑音は完全に消失しました。
CACSは非常に珍しい疾患であり、医師の間でも認知されているとはいいがたい疾患です。男性に比べて女性に多く、一般的には20-40歳代に好発するとされています。有病率は判明していないものの解剖学的異常として正中弓状靭帯による腹腔動脈狭窄は0.2-6%程度存在するという報告もあります。しかしながら多くの症例では側副血行路の発達などで無症状です。
症状として特異的なもの存在せず、嘔気、嘔吐、下痢、食後の腹痛、間歇的な心窩部痛や胸やけなどがあらわれます。呼吸性変動を伴う腹部の血管雑音に関しても、決して特異的な身体所見ではありません。実際外来診療をしているとこれらの血管雑音は痩せ型の女性患者の多くで聴取が可能です。ただし鑑別疾患の一つとしてCACSを想起することは忘れてはなりません。
今回は運よくCACSを特定し、治療を完遂することができました。しかしCACS自体の認知度の低さや非特異的な症状から、本症が鑑別疾患に挙がらず不定愁訴として潜在的に見逃されている可能性は否定できません。原因不明の腹部症状が遷延している若年女性に呼吸性変動を伴う血管雑音を聴取した際にはCACSを鑑別疾患の一つとして忘れないようにしましょう。
以下Journal記事のリンクです。
Gastroenterology
Electronic Clinical Challenges and Images in GI
「Intermittent severe epigastric pain and abdominal bruit varying with respiration」
ぜひともご参照ください。
先日アクセプトされました「Intermittent severe epigastric pain and abdominal bruit varying with respiration」がGastroenterologyの2020年度3月号第4集に掲載されています。
今回の症例は、およそ3年間にわたって徐々に増悪し、間歇的に生じる耐え難い腹部疝痛のため岡山市立市民病院総合内科を受診された患者です。私の外来に来られるまで、県内外の少なくとも7つの総合病院を受診されましたが原因の特定には至っていませんでした。
腹痛の性状は内臓痛であるものの、明らかな腹膜刺激徴候はなく、体位による疼痛の変化も認められませんでした。しかしながら腹部聴診で呼吸性に変動する血管雑音が聴取されたためDoppler超音波検査を実施し、腹腔動脈の流速を計測しました。呼気と吸気で流速に大きな変動(呼気で流速UP)が認められたことから造影CTを撮影したところ、腹腔動脈起始部に狭窄が生じ、狭窄部以降の動脈径の拡大が認められたため正中弓状靭帯圧迫症候群(Celiac Artery Compression Syndrome:CACS)と診断しました。CACSと診断後、腹腔鏡下で正中弓状靭帯切離術を実施したところ、患者の腹痛および腹部の血管雑音は完全に消失しました。
CACSは非常に珍しい疾患であり、医師の間でも認知されているとはいいがたい疾患です。男性に比べて女性に多く、一般的には20-40歳代に好発するとされています。有病率は判明していないものの解剖学的異常として正中弓状靭帯による腹腔動脈狭窄は0.2-6%程度存在するという報告もあります。しかしながら多くの症例では側副血行路の発達などで無症状です。
症状として特異的なもの存在せず、嘔気、嘔吐、下痢、食後の腹痛、間歇的な心窩部痛や胸やけなどがあらわれます。呼吸性変動を伴う腹部の血管雑音に関しても、決して特異的な身体所見ではありません。実際外来診療をしているとこれらの血管雑音は痩せ型の女性患者の多くで聴取が可能です。ただし鑑別疾患の一つとしてCACSを想起することは忘れてはなりません。
今回は運よくCACSを特定し、治療を完遂することができました。しかしCACS自体の認知度の低さや非特異的な症状から、本症が鑑別疾患に挙がらず不定愁訴として潜在的に見逃されている可能性は否定できません。原因不明の腹部症状が遷延している若年女性に呼吸性変動を伴う血管雑音を聴取した際にはCACSを鑑別疾患の一つとして忘れないようにしましょう。
以下Journal記事のリンクです。
Gastroenterology
Electronic Clinical Challenges and Images in GI
「Intermittent severe epigastric pain and abdominal bruit varying with respiration」
ぜひともご参照ください。
プロフィール
HN:
Hiroki Matsuura
性別:
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