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英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。 New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2019.07.22,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(52本目)
今回は救急疾患に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Acute Calcific Retropharyngeal Tendinitis」です。掲載誌はまたまた卒後医学教育に先進的な変化をもたらした英国の非営利団体Fellowship of Postgraduate Medicine (FPM)が発行している100年の歴史と伝統を誇る教育誌「Postgraduate Medical Journal (IF 1.946)」になります。

今回の症例は44歳の男性が突然の頸部痛のためERを受診され「石灰沈着頚長筋腱炎」と診断されたCaseです。石灰沈着頚長筋腱炎の頻度は比較的稀ですが、頸部痛の鑑別としてしばしば忘れがちな疾患になります。本症は椎前筋を形成する頚長筋にハイドロキシアパタイトが沈着して発症します。治療はNSAIDsやステロイド、安静など保存的加療で自然軽快することが知られており、予後は極めて良好です。

頸部痛に発熱を伴う疾患は様々なものがありますが、その中でもFive Killer Sore Throatと呼ばれる疾患は緊急性が高く、生命の危険がある緊急疾患として必ず除外する必要があります。
Five Killer Sore Throat急性喉頭蓋炎、扁桃周囲膿瘍、口腔底蜂窩織炎(Ludwig's angina)、Lemierre症候群、そして咽後膿瘍の5つになります。これらには開口障害流涎三脚位などの身体所見を併せて早期の診断をおこない、ときに気管挿管や気管切開などで迅速な気道確保を必要とします。

このうち咽後膿瘍では頸部のレントゲン撮影で軟部組織腫脹が認められるのですが、今回の石灰沈着頚長筋腱炎とは臨床的に非常に似た所見を示すため注意が必要です。かたや生命にかかわる緊急疾患であるというのは対応に難渋する可能性もあり、ERに来院された際には頭を悩ましそうです。

今回の症例も多分に漏れず、頸部レントゲンでは軟部組織腫脹が認められ私たちの頭を悩ましたのですが、CT撮影にて巨大な石灰沈着頚長筋腱炎を同定し、さらに3D構成まで実施、咽頭後壁の組織腫脹の推移も含めて経過をおいました。なお本邦からですがH2ブロッカーが石灰化に有効であるとの報告があったためH2ブロッカーを導入したところ、3か月後にには綺麗さっぱり病変が消失しました。現在も再発はありません。

100本まで残り48本です。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2019.07.03,Wed
Clinical Pictureが掲載されました(34)
先日アクセプトされました「Acute Gastric Dilation caused by Superior Mesenteric Artery syndrome」がPostgraduate Medical Journalの2019年5月号に掲載されています。

今回はAcute Gastric Dilation(急性胃拡張)がSMA症候群によって生じたというCaseを取り上げています。そもそもSMA症候群は十二指腸水平脚Superior Mesenteric Artery(上腸間膜動脈)大動脈、あるいは脊椎に圧排されることで狭窄や閉塞をきたす疾患で若い痩せ型の女性に多いことが知られています。画像所見としてはSMAと大動脈の分岐角が正常よりも鋭角になっています。

急性胃拡張はその名の通り、過食や排出不良に伴う胃内容物の貯留で胃が拡張するという病態です。神経変性疾患や脳梗塞、糖尿病、術後再建、摂食障害、薬剤によって生じることが知られていますが本症例のようにSMA症候群でも起こりえます。SMA症候群では胃の内容物が大量に存在することで排出遅延が起こることから胃拡張を起こしやすいと考えられています。「ただの胃の拡張じゃないか」と思われる方も多いのですが、意外にも重症例が多数報告されています。

胃は支配血管が豊富であることから阻血になりにくいとされていますが、胃の急激な拡張で内部から血管が圧排され胃表面の血流が乏しくなり、最終的に組織壊死に至ると胃破裂をおこします。胃破裂を起こした場合の予後は不良であり死亡例が多数報告されていますから、本症の患者を診た際には胃管挿入による迅速な減圧が必要です。

本症例でも来院後すぐに胃管を挿入のうえ、胃表面の血流を腹部超音波検査で確認し注意深い経過観察を必要としました。さまざまな論文を確認すると急性胃拡張を起こした症例の多くで精神科疾患を有する場合が多いとされています。たとえ急性胃拡張が軽症で済んだとしても背景疾患として摂食障害がある可能性は否定できません。注意深い問診で患者の生活歴を知り、精神科や心療内科と相談しながら対応する必要があるかもしれません。

以下Journal記事のリンクです。
Postgraduate Medical Journal
Images in Medicine
Acute Gastric Dilation caused by Superior Mesenteric Artery syndrome
※有料会員のみ購読可能です
Posted by Hiroki Matsuura - 2019.07.02,Tue
Clinical Pictureが掲載されました(33)
先日アクセプトされました「Whitish-yellow tapeworm」がPostgraduate Medical Journalの2019年1月号に掲載されています。

今回掲載された日本海裂頭条虫はサクラマスやカラフトマスに寄生し、最終宿主の体内で10mにまで成長する寄生虫です。大きさの割には症状は軽微ですむことが多く、ヒトにおいては腹部膨満感原因不明のビタミンB12欠乏などで発見されるケースが多いとされています。

強調したい点は本症を含む裂頭条虫症では適切な調理をしていれば感染を予防できるという点です(マイナス20度で24時間以上、55℃以上で加熱5分以上)。本症例では患者は個人的に友人から頻回にサクラマスを手に入れており、冷凍処理や加熱調理することなく喫食していたことが原因でした。

本症をみてサケが食べられなくなったという苦情をいただきますが、徒らにサケを避けるのは少々もったいない話です。「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」、上記の方法で適切に処理されているサケを食べるのは全く問題ないのです。正しい知識をもって美味しいサケを堪能しましょう。

ただし豚レバー生食はダメ、ゼッタイ!

以下Journal記事のリンクです。
Postgraduate Medical Journal
Images in Medicine
Whitish-yellow tapeworm
※有料会員のみ購読可能です

Posted by Hiroki Matsuura - 2019.06.29,Sat
Clinical PictureがAcceptされました(51本目)
今回は救急疾患に関するClinical PictureがAcceptされました。タイトルは「Acute Behavoral Changes after a Small Fire」です。掲載誌はまたもや卒後医学教育に先進的な変化をもたらした英国の非営利団体Fellowship of Postgraduate Medicine (FPM)が発行している100年の歴史と伝統を誇る教育誌「Postgraduate Medical Journal (IF 1.946)」になります。

今回の症例は80歳の女性が急激な意識変容、行動異常、動作緩慢によって救急搬送されたのですが詳細な病歴聴取とMRI検査によりCO中毒後の遅発性脳症と診断されたcaseです。来院3週間前にボヤを起こしたため同様に救急搬送されましたが、来院時のABGでもCOHbの著明な高値は認められず、酸素吸入と数日の入院加療で自宅退院されていました。MRIでは淡蒼球に特徴的な変化が認められました。

CO中毒は先進国における中毒死の原因の第一位であり、アメリカでは年間4万件発生しています。原因は不完全燃焼や火事、長時間にわたるエンジンや暖房器具の使用などが多く、比較的冬季に多く発生します。なお沖縄では台風での停電時に使用する自家用発電機によるCO中毒が多く、夏季に多発します。

CO中毒後の遅発性脳症に関しては、CO中毒後およそ2-4週間程度で発症突然の行動変容や無動無言、失認、失行があらわれます。タイムラグがあり発見が遅れる症例があるためやはり病歴聴取が重要です。さらに本症の発症はCOHb濃度とは特に関連がありません。COHb濃度が低くても全く油断できないのです。 ただし本症はHBO(高圧酸素療法)で発症率を低下させることが近年明らかになっており、また遅発性脳症発症後もHBOが有効であったという報告がなされています。

100本まで残り49本です。
なお本CaseよりImpact Factorは新年度のものに更新されます。
Posted by Hiroki Matsuura - 2019.06.12,Wed
撮っておきClinical Picture!(Cadetto.jp)更新のお知らせ(4)
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載が始まりました「撮っておきClinical Picture!」ですが、6月12日付で新しい記事が掲載されました。

今回取り上げた症例は角化型疥癬、いわゆる「ノルウェー疥癬」です。CCJMに投稿した症例とは別のものになりますが、経過は似ており「90歳代の施設入所中の女性に生じた下肢発赤に対してステロイド軟膏を漫然と長期使用し増悪した」というものです。本症は公衆衛生上大きな問題となる疾患なので、早期発見と治療が非常に重要な疾患です。

治療薬や対処法についても簡単に述べておりますので是非ご参照ください。

以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
足趾角化部の検鏡で見えた、あの病原生物
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