英文誌への投稿を始めたばかりの後期研修医のブログです。
New England Journal of Medicine の「Images in clinical medicine」への掲載を目標に頑張ります。
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.12.06,Sun
Clinical PictureがAcceptされました(63本目)
今回はダニ媒介感染症と比較的稀な合併症に関連するCase reportがAcceptされました。タイトルは「Japanese Spotted Fever & Rickettsial pneumonia」です。掲載誌は英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 2.529)」です。「Japanese spotted fever(日本紅斑熱)」は1984年徳島県阿南市で馬原文彦先生によって発見された紅斑熱群リケッチア感染症です。近年感染者数が急激に増加しており公衆衛生上大きな脅威となるダニ媒介疾患として知られています。一般的に紅斑熱群リケッチア感染症は紅斑、痂皮、肝障害を3徴としますが、血管内皮に感染し増殖するという特性から、全身のあらゆる臓器で臓器障害を引き起こします。症状の多くは非特異的であり、発熱や全身倦怠感、筋肉痛などのインフルエンザ様症状を呈するため、紅斑などを見落としたり(症例によっては紅斑が目立たない場合もあります)、流行地域で鑑別疾患から本症を落としてしまった場合には想起が難しく、重症化し致命的な経過をたどる危険性があります。
前述のように紅斑熱群リケッチア感染症は血管内皮に感染する特性から、全身のあらゆる臓器に感染を起こし臓器障害を来たしますが、肺も例外ではありません。日本紅斑熱の類縁疾患であるロッキー山紅斑熱(Rickettsia rickettsi)、地中海紅斑熱(Rickettsia conorii)、ツツガムシ病(Orientia tsutsugamushi)などでは呼吸器症状が出現することは決して稀ではなく、CTや胸部レントゲン写真が様々な英文誌に登場しており「リケッチア肺炎」として報告されています。しかしながら、こと日本紅斑熱に限っては上述のような報告はPubmedを検索した限り、見つけることができなかったため報告する価値があると考えました。
紅斑熱群リケッチア感染症は「知らないと想起できない」「早期発見が患者の生命予後を左右する」「患者毎に症状の多様性が大きい」、など様々な点で臨床医泣かせの疾患です。特に本症例のような一見「普通の肺炎」に見えてしまう症例は非常に稀ではありますが、落とし穴になる可能性が高いため、通常の抗菌薬治療に反応が乏しい症例や原因不明の血小板減少を伴う症例では紅斑熱群リケッチア感染症を鑑別疾患として考える必要があるでしょう。
100本まで残り37本です。
日本紅斑熱についてはこれまでQJMに「Japanese spotted fever」、AJTMHに「Family cluster of Japanese Spotted Fever」がそれぞれ掲載されています。この機会にご参照ください。
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Posted by Hiroki Matsuura - 2020.12.01,Tue
Clinical Pictureが掲載されました(43)
先日アクセプトされました「Hypothyroidism, eyelash loss」がCleveland Clinic Journal of Medicine の12月号に掲載されています。
甲状腺機能低下症では様々な身体所見があらわれることが知られていますが、脱毛も頻度が高く認められる所見の一つです。甲状腺機能低下症では毛髪の休止期脱落が高頻度に生じて脱毛に繋がります。これは毛根の休止期が早期に終了することで毛髪が細く脆弱になった結果です。
今回取り上げたClinical Pictureは睫毛の脱落です。「睫毛のみの脱落」は「Milphosis」と呼ばれ、甲状腺機能低下症や帯状疱疹、ハンセン病、尋常性乾癬、皮膚悪性腫瘍、薬剤性(ヘパリン、ACEi)などで観察される場合があります。
下腿浮腫と倦怠感を主訴に初診外来に来院された本症例ですが、顔を観察した際に「Milphosis」に気付いたことで比較的早期に甲状腺機能低下症という診断に至りました。
特に女性では睫毛や眉毛は化粧で修飾され、元の状態とは程遠い場合が多々あります。眉毛や睫毛はマスクを着用して診察のしにくいコロナ禍の診察でも問題なく確認が可能です。診察の際には眉毛や睫毛の変化がないか、一度観察してみませんか?
以下Journal記事のリンクです。
Cleveland Clinic Journal of Medicine
The Clinical Picture
「Hypothyroidism, eyelash loss」
先日アクセプトされました「Hypothyroidism, eyelash loss」がCleveland Clinic Journal of Medicine の12月号に掲載されています。
甲状腺機能低下症では様々な身体所見があらわれることが知られていますが、脱毛も頻度が高く認められる所見の一つです。甲状腺機能低下症では毛髪の休止期脱落が高頻度に生じて脱毛に繋がります。これは毛根の休止期が早期に終了することで毛髪が細く脆弱になった結果です。
今回取り上げたClinical Pictureは睫毛の脱落です。「睫毛のみの脱落」は「Milphosis」と呼ばれ、甲状腺機能低下症や帯状疱疹、ハンセン病、尋常性乾癬、皮膚悪性腫瘍、薬剤性(ヘパリン、ACEi)などで観察される場合があります。
下腿浮腫と倦怠感を主訴に初診外来に来院された本症例ですが、顔を観察した際に「Milphosis」に気付いたことで比較的早期に甲状腺機能低下症という診断に至りました。
特に女性では睫毛や眉毛は化粧で修飾され、元の状態とは程遠い場合が多々あります。眉毛や睫毛はマスクを着用して診察のしにくいコロナ禍の診察でも問題なく確認が可能です。診察の際には眉毛や睫毛の変化がないか、一度観察してみませんか?
以下Journal記事のリンクです。
Cleveland Clinic Journal of Medicine
The Clinical Picture
「Hypothyroidism, eyelash loss」
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.11.21,Sat
3. 国境を駆ける医師イコマ
医師に勧めたい漫画を紹介します。今回ご紹介するのは国際医療援助活動にその身を投じる日本人医師を描いた作品「国境を駆ける医師イコマ」です。民族対立による政情不安、ボスニア戦争と残存地雷問題、大地震に襲われる中で医師が迫られる究極の決断etc、様々な葛藤に苛まれながらもがき続ける外科医を主人公にしています。
2004年頃に連載され、コミックは絶版となり長らく手に入らなかったのですが、最近ではネットコミックとしても読むことができます。思い悩む時には(私にもたまにはあります)初心にかえって、イコマを読むと何か力を貰えるような気がします。手垢でボロボロになってしまうくらいの愛読書です。
既刊は6巻なのですが、未発売のヤングジャンプ掲載分があり、しかも新興感染症をテーマにしていた内容だったはずです。どなたかお持ちであればsuperonewex0506@yahoo.co.jpまでご連絡いただけますと幸いです。

医師に勧めたい漫画を紹介します。今回ご紹介するのは国際医療援助活動にその身を投じる日本人医師を描いた作品「国境を駆ける医師イコマ」です。民族対立による政情不安、ボスニア戦争と残存地雷問題、大地震に襲われる中で医師が迫られる究極の決断etc、様々な葛藤に苛まれながらもがき続ける外科医を主人公にしています。
2004年頃に連載され、コミックは絶版となり長らく手に入らなかったのですが、最近ではネットコミックとしても読むことができます。思い悩む時には(私にもたまにはあります)初心にかえって、イコマを読むと何か力を貰えるような気がします。手垢でボロボロになってしまうくらいの愛読書です。
既刊は6巻なのですが、未発売のヤングジャンプ掲載分があり、しかも新興感染症をテーマにしていた内容だったはずです。どなたかお持ちであればsuperonewex0506@yahoo.co.jpまでご連絡いただけますと幸いです。
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価格:528円 |
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.11.18,Wed
撮っておきClinical Picture!(Cadetto.jp)更新のお知らせ(17)
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2020年11月18日付で新しい記事が掲載されました。
今回のタイトルは「強い偏食傾向のある鍼灸師が陥ったある疾患」です。
東洋医学には「医食同源」という言葉があります。バランスの取れた食事というのは健康にかかせません。しばしば食事摂取不良や偏食を原因とした疾患は不定愁訴とみなされ、診断が遅れがちです。患者さんの食生活を把握することは様々な疾患において診断の一助となりえます。
ぜひともご参照ください。
以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
「強い偏食傾向のある鍼灸師が陥ったある疾患」
日経メディカル姉妹誌で若手医師と医学生のためのサイト「Cadetto.jp」にて、2019年1月より連載中の「撮っておきClinical Picture!」ですが、2020年11月18日付で新しい記事が掲載されました。
今回のタイトルは「強い偏食傾向のある鍼灸師が陥ったある疾患」です。
東洋医学には「医食同源」という言葉があります。バランスの取れた食事というのは健康にかかせません。しばしば食事摂取不良や偏食を原因とした疾患は不定愁訴とみなされ、診断が遅れがちです。患者さんの食生活を把握することは様々な疾患において診断の一助となりえます。
ぜひともご参照ください。
以下、記事のリンクです。
撮っておきClinical Picture!
「強い偏食傾向のある鍼灸師が陥ったある疾患」
Posted by Hiroki Matsuura - 2020.11.02,Mon
Clinical PictureがAcceptされました(62本目)
今回は感染症と大腸癌に関連するCase ReportがAcceptされました。タイトルは「Lactobacillus Bacteremia: A diagnostic clue of Rectal Cancer」です。掲載誌は長らくAcceptから遠ざかっていた英国内科学会の発行する内科系雑誌「Quarterly Journal of Medicine(IF 2.529)」です。今回の症例は突然の発熱と悪寒戦慄で搬送されてきた高齢女性の血液培養からLactobacillus属菌が検出され、悪性腫瘍による消化管粘膜の破綻から菌血症を生じたと考えてCSを実施し、未指摘の直腸癌を診断したという症例です。
一般的にはプロバイオティクスとして腸内環境を正常に保つ働きのあるLactobacillus属菌ですが、Pubmedで検索すると意外にも菌血症や肝膿瘍、細菌性髄膜炎などを生じた症例報告が出てきます。
既報によるとLactobacillus属菌による菌血症のリスク群は事前の入院歴、中心静脈栄養使用、ステロイドユーザー、糖尿病患者、悪性腫瘍(特に白血病)、広域抗菌薬使用、臓器移植術後、HIV感染がありました。それにくわえて腸管粘膜の破綻が生じている虚血性腸炎やIBD、そして消化管悪性腫瘍では本種による菌血症が増加するとされています。
大腸癌に関係する菌血症の菌種としてはStreptococcus bovisやClostridium septicumが非常に有名です。しかし菌血症としては決して一般的でないLactobacillus属菌が検出された場合にも消化管悪性腫瘍の検索を忘れないようにしましょう。
100本まで残り38本です。
プロフィール
HN:
Hiroki Matsuura
性別:
非公開
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